なんだかんだで観ていなかった…映画「ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD」
日本語も英語も長くて、入力するのが面倒なタイトル…
監督は“クエンティン・タランティーノ”で、“レオナルド・ディカプリオ”と“ブラッド・ピット”の初共演作品。
161分もあるから、なかなか観るに至らなかったのか。
ちょうど私が、映画をほとんど観ていなかった時期に公開された映画です。
NETFLIXにあったので、公開から5年…ついに観ることとなりました。
タランティーノ映画は久しぶりだね
しゃべりタランティーノ!
映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
ムービープラス&ナタリーより
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(原題:Once Upon a Time in Hollywood)は、2019年公開のアメリカ・イギリス合作のドラマ映画。
1969年にハリウッド女優“シャロン・テート”が「マンソン・ファミリー」と呼ばれる“チャールズマンソン”率いるカルト集団に殺害された事件を背景に、当時のハリウッド映画界を描いた作品。
STORY
人気にかげりが見えてきたテレビ俳優の“リック・ダルトン”と、リックの付き人でスタントマンの“クリフ・ブース”。変化の激しいエンタメ業界で、生き残ることに必死なリックと自分らしく生きているクリフは対照的だったが、彼らは親友として固い絆で結ばれていた。ある日、リックの家の隣に今を時めく映画監督“ロマン・ポランスキー”と、その妻で新星女優の“シャロン・テート”が引っ越してきた。彼らに刺激されたリックは、俳優として再び輝くためにイタリアで「マカロニ・ウエスタン」映画に出演する決意をする。そして、1969年8月9日…リックたちを巻き込み、ある事件が発生する。
監督:クエンティン・タランティーノ
上映時間:161分
ディカプリオとブラピ!
そして、タランティーノ!
背景
この映画は、1969年に実際に起きたハリウッド女優“シャロン・テート”が殺害された事件を背景に描かれています。
知らないで観るより、知っていた方がよりこの作品を理解できるはずです。
「シャロン・テート殺害事件」の前に、それに大きく関係する男“チャールズ・マンソン”について知る必要がある。
1960年代後半のアメリカはベトナム戦争が泥沼化し、若者たちの間で“ヒッピー文化”が急速に広まっていた。
サンフランシスコの“ヘイト・アシュベリー地区”を中心に全米へ広がり、若者たちは「セックス・ドラッグ・ロック」と自由な生き方を求めていた。
チャールズ・マンソン
チャールズ・マンソン
チャールズ・ミルズ・マンソンは、オハイオ州シンシナティ出身のヒッピーのコミューンの指導者であり犯罪者。
幼い頃から犯罪を繰り返し、1967年の刑期を終えるまでほとんどを施設か刑務所で過ごす。
サンフランシスコに向かったマンソンは、刑務所で習ったギターを片手に路上で歌っていた。
言葉巧みに若い女の子たちに近づき、ドラッグも与え心を掴みいつしか数十人のメンバーが出来ていた。
1968年にメンバーと共にロサンゼルスのハリウッドに移り、ドラッグ売買やクレジットカード泥棒などで生計を立てる。
ある時、ファミリー(メンバー)の1人がロックバンド「ザ・ビーチ・ボーイズ」のメンバー“デニス・ウィルソン”と出会い、その縁からマンソンを紹介した。
ミュージシャンになりたかったマンソンは、デニスと仲良くなり彼の邸宅にファミリーと共に居候することとなる。
デニスの紹介で、ミュージシャンであり音楽プロデューサーである“テリー・メルチャー”と知り合う。
テリーは当時「シエロ・ドライブ10050番地」に住んでいて、マンソンをプロデュースしてデビューさせる予定だった。
しかし、テリーが約束を守らずにデビューの話は流れ、さらにデニスが引っ越したためマンソンたちは住処を失う。
カリフォルニア州チャッツワースに西部劇撮影用の「スパーン牧場」を見つけたマンソンは、所有者の82歳の盲目の男“ジョージ・スパーン”に日々の雑用や観光用の馬貸しを手伝うことを条件に、ファミリーと共に移住することに成功した。
ここでマンソンは、ファミリーたちとドラッグやセックスをして過ごしていた。
この頃のマンソンは危険な思想をファミリーたちに説教し、「黒人たちが白人たちに戦争を仕掛け、白人を全滅させて世界を支配する最終戦争“ヘルター・スケルター”が起こる」と、武器などを備え訓練もしていた。
“マンソン・ファミリー”は過激化していき、やがて「マンソンが命じれば人殺しでも何でもする」集団へと変わっていった。
シャロン・テート殺害事件
ある日、マンソンは“テリー・メルチャー”の住む「シエロ・ドライブ10050番地」を訪れた。
しかし、そこに住んでいたのはメルチャーではなかった。
「メルチャーは引っ越した」と追い払われたことに腹を立て、マンソンは後に復讐することを誓う。
メルチャーの後にそこに住んでいたのは、“ロマン・ポランスキー監督”と妻で女優の“シャロン・テート”だった。
1969年8月8日の夜、マンソンはファミリーの4人(テックス・ワトソン, スーザン・アトキンス, パトリシア・クレンウィンケル, リンダ・キャサビアン)に殺人を命じ、4人は「シエロ・ドライブ10050番地」へと向かう。
8月9日未明に4人は目的地に着いたが、1台の車が近づいてきた…運転していたのはたまたま通りかかった“スティーブン・ペアレント”という若い男だった。
「何してるんだ?」と尋ねたスティーブンは、4発の銃弾を撃ち込まれて死亡した。
その後、リンダを見張り役に残して3人はポランスキー邸宅へと侵入する。
この夜にポランスキー邸にいたのは4人、この邸宅に住む“シャロン・テート”、シャロンの元恋人でスタイリストの“ジェイ・セブリング”、フォルジャーズ・コーヒー・カンパニーの令嬢“アビゲイル・フォルジャー”、アビゲイルの恋人の“ヴォイテク・フリコウスキー”
この時“ロマン・ポランスキー”は、新作の撮影のためヨーロッパに滞在していた。
ソファで眠っていたフリコウスキーに銃を向けて、「俺は悪魔だ。悪魔の仕事をしに来た」と言うテックス。
2階にいた3人も1階に連れてこられ、結局4人は惨殺されてしまいました…。
セブリングは銃で撃たれ、テックスにナイフで7回刺されて死亡。
フリコウスキーも銃で撃たれ、テックスにナイフで51回刺されて死亡。
アビゲイルは、テックスにナイフで28回刺されて死亡。
そして、シャロンは「お腹の赤ちゃんだけでも助けて欲しい」と涙ながらに懇願しましたが…3人がかりでナイフで16回刺されて死亡しました。
アトキンスは、シャロンの血で壁に「Pig」と書き残しました。
黒人の隠語で白人を意味する“Pig”(豚)を書いたのは、黒人の仕業であると偽装するためにマンソンが支持したと推測される。
なんて残酷で悲しい事件…
何が悪魔だよ!
監督・脚本・製作
クエンティン・タランティーノ
クエンティン・ジェローム・タランティーノは、テネシー州ノックスビル出身の映画監督、脚本家、俳優、映画プロデューサー。
俳優であり音楽でもある父親と看護師の母親の間に生まれ、映画好きの母親と一緒に映画を観て育つ。
1971年にロサンゼルスに引っ越し、14歳の特に最初の脚本「ジ・アメージング・アドベンチャー・オブ・ミスター・リー」を書いた。
16歳で高校を中退し、劇団に入り演技を学ぶ。
22歳の時に、ロサンゼルスのサウスベイ地区マンハッタン・ビーチにあるビデオショップ「マンハッタン・ビーチ・ビデオ・アーカイブ」の店員となる。
ここで、後に「キリング・ゾーイ」を監督する“ロジャー・エイヴァリー”や客と映画について語る日々を過ごす。
ハリウッドのパーティーで映画プロデューサー“ローレンス・ベンダー”に出会い、脚本を書くよう勧められ1987年に「My Best Friend`s Birthday」で監督と共同脚本を務めた。
この作品が後の“トニー・スコット”が監督した「トゥルー・ロマンス」の元となる。
1992年「レザボア・ドッグス」で脚本・監督デビューし、作品はカルト的ヒットを記録し第45回カンヌ国際映画祭にも特別招待作品として招かれた。
1994年に監督2作目となる「パルプ・フィクション」で、第47回カンヌ国際映画祭で“パルム・ドール”を受賞しアカデミー賞では脚本賞を受賞した。
1997年「ジャッキー・ブラウン」2003年「キル・ビル Vol.1」2004年「キル・ビル Vol.2」を監督。
2009年“ブラッド・ピット”が主演した「イングロリアス・バスターズ」で、第82回アカデミー賞で8部門ノミネート。
2012年「ジャンゴ 繋がれざる者」で第85回アカデミー賞脚本賞を受賞した。
2019年「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で、第92回アカデミー賞で“ブラッド・ピット”に初のアカデミー助演男優賞をもたらし、第77回ゴールデングローブ賞では作品賞を含む3部門を受賞。
タランティーノはかねてから、長編映画を10作品撮って映画監督を引退すると公言している。
千葉真一の大ファンであり、「攻殻機動隊」などの日本のアニメにも精通していて、自身が大好きだった「座頭市」や「子連れ狼」、深作欣二監督、三隅研次監督へのオマージュなどを映画内に多く入れている。
タランティーノは“超映画オタク”なので、私たちが知らないような昔の日本人監督も知っていて多くの作品を観ています。
私がカリフォルニアにいた頃、毎日のように“マンハッタン・ビーチ”でサーフィンをしていました。
もう少し時代が前だったら、タランティーノがいたビデオ店があったんですけどね。
彼の映画は、自分がずっと撮りたかった趣味のような映画という感じがします。
最後の10作目はどんな映画になるのでしょうか。
主演
レオナルド・ディカプリオ(リック・ダルトン役)
レオナルド・ウィルヘルム・ディカプリオは、カリフォルニア州ロサンゼルス出身の俳優、脚本家、映画プロデューサー、環境活動家。
10代でCMやテレビドラマに出るようになり、1993年ジョニー・デップ主演の「ギルバート・グレイプ」で19歳の若さでアカデミー助演男優賞にノミネートされる。
その後も、1995年「バスケットボール・ダイアリーズ」1996年「ロミオ+ジュリエット」と出演を重ね、1997年ジェームズ・キャメロン監督の「タイタニック」で一躍スターとなる。
2002年マーティン・スコセッシ監督の「ギャング・オブ・ニューヨーク」に主演し高い評価を得る。
2004年、初めてプロデュースした「アビエイター」で再びスコセッシと組み、ゴールデングローブ賞ドラマ部門主演男優賞を受賞。
それ以降も「ディパーテッド」「ブラッド・ダイヤモンド」「インセプション」などで主演し、2013年「ウルフオブウォールストリート」で再度スコセッシとタッグを組みゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞。
2012年に「ジャンゴ 繋がれざる者」で“クエンティン・タランティーノ”監督と初タッグを組み、初の悪役に挑戦しゴールデングローブ賞にもノミネートされた。
また、映画人の他に環境活動家の一面を持っている。プリウスなどのハイブリッドカーを所有したり、代替肉やヴィーガン食品のハンバーガー開発会社などに投資している。
もうひとつのタランティーノ作品「ジャンゴ 繋がれざる者」は、まだ観ていないので機会があったら観てみたいです。
今作のような、“情けないディカプリオ”はけっこう好きです。
ディカプリオは、2024年9月に逮捕された“ディディ”のパーティーに頻繁に現れていたようなので…どこまで関わっていたのか心配ですね…。
ブラッド・ピット(クリフ・ブース役)
ブラッド・ピットは、オクラホマ州シャウニー出身のアメリカ人の俳優、映画プロデューサー。
高校卒業し、ミズーリ大学コロンビア校に入学。ジャーナリズムを専攻するが俳優になることを決意し、中退して僅かな所持金と共にロサンゼルスへ向かった。
演技を学びながら運転手など様々な職を経験し、1987年「追い詰められて」で映画デビュー。
いくつかのテレビシリーズに出演し、1988年「リック」で映画初主演。
1990年テレビ映画「トゥルー・ブルース」で主演し“ジュリエット・ルイス”と共演し、1991年「テルマ&ルイーズ」で脇役での出演だが知名度を上げた。
1992年に“ロバート・レッドフォード”が監督した「リバー・ランズ・スルー・イット」で注目され、1993年「カリフォルニア」で再びジュリエット・ルイスと共演した。
同年に「トゥルー・ロマンス」、1994年に「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」で“トム・クルーズ”と共演。
同じく1994年に「レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い」で初めてゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされた。
1995年「セブン」が大ヒットし批評家からも演技を高く評価され、同年の「12モンキーズ」でゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞しアカデミー賞助演男優賞にもノミネート。
1996年「スリーパーズ」、1997年「デビル」、同年の「セブン・イヤーズ・イン・チベット」は批評家に酷評された。
1999年「ファイト・クラブ」、2000年「スナッチ」、2001年「ザ・メキシカン」「スパイ・ゲーム」に出演、さらに「オーシャンズ11」は大ヒットしシリーズ化された。
2004年「トロイ」2005年「Mr.&Mrs.スミス」が大ヒットし、2006年「バベル」がゴールデングローブ賞作品賞を受賞し自身も助演男優賞にノミネート。
後にピットは、「バベル」への出演がキャリア最高の選択のひとつだと語っている。
2007年「ジェシー・ジェームズの暗殺」、2008年「バーン・アフター・リーディング」、同年の「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」では全米映画俳優組合賞に初めてノミネートされた。
2009年「イングロリアス・バスターズ」2011年「ツリー・オブ・ライフ」が高く評価され、興行的にも成功をおさめた。
2011年「マネーボール」、2013年「ワールド・ウォー Z」、2014年「フューリー」
2019年の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で“レオナルド・ディカプリオ”と共演し、ゴールデングローブ賞や映画俳優組合賞で助演男優賞を受賞、そして自身初のアカデミー賞助演男優賞を受賞した。
プロデューサーとしては、2001年に「プランBエンターテイメント」を設立し、2006年「ディパーテッド」でアカデミー作品賞を受賞した。
“ジュリエット・ルイス”や“グウィネス・パルトロー”などと交際し、2000年に“ジェニファー・アニストン”と結婚。
2005年に離婚し、直ぐに“アンジェリーナ・ジョリー”と交際し2014年に結婚。2016年に離婚した。
慈善活動にも熱心で、これまで多くの児童養護団体や野生動物保護区などに多額の寄付をしている。
今回の作品では、彼のキャリアからは珍しいと感じる役どころを演じていました。
それでいて、自身初の“アカデミー賞助演男優賞”を受賞しましたからね。
また“ディカプリオとの共演作品”を観てみたいものです。
キャスト
役者名 | 役名 | 説明 |
---|---|---|
レオナルド・ディカプリオ | リック・ダルトン | テレビの西部劇ドラマで人気者となった俳優 現在は落ち目となり、自身の今後の役者人生に悩んでいる |
ブラッド・ピット | クリフ・ブース | リックの親友で専属のスタントマン兼付き人 リックの影響で仕事は減っているが、自分らしく生きている |
マーゴット・ロビー | シャロン・テート | 若くて無邪気なハリウッドの新星女優 ロマン・ポランスキー監督の妻 |
ラファエル・サビエルチャ | ロマン・ポランスキー | 新進気鋭の映画監督で、シャロンの夫 |
アル・パチーノ | マーヴィン・シュワーズ | 西部劇を愛する映画プロデューサー リックのイタリア映画出演を提案し仲介する |
ニコラス・ハモンド | サム・ワナメイカー | 「対決ランサー牧場」の監督で、リックの快演を絶賛する |
カート・ラッセル | ランディ・ミラー | スタントマンのコーディネーターで、クリフを避けている カート・ラッセルは本作のナレーターも担当している |
ジュリア・バターズ | トルーディ・フレイザー | 「対決ランサー牧場」でリックと共演した8歳の子役 高い意識とこだわりを持ち、小説で涙ぐむリックを慰める |
ルーク・ペリー | ウェイン・モウンダー | 「対決ランサー牧場」のランサー役でリックと共演する俳優 |
マイク・モー | ブルース・リー | シャロンにアクション指導もする若手アクション俳優 「グリーン・ホーネット」で“カトー”を演じていたので、クリフからカトーと呼ばれる |
ダミアン・ルイス | スティーブ・マックウィーン | シャロンの友人のハリウッドスター テレビスターから映画スターへの転向に成功した |
エミール・ハーシュ | ジェイ・シブリング | シャロンの友人で、元婚約者の人気ヘアスタイリスト 家を留守にするポランスキーの代わりに、シャロンの世話役を任されている |
デイモン・ヘリマン | チャールズ・マンソン | カルト集団「マンソン・ファミリー」を率いる指導者 テックスたちに殺人の命令を下す |
マーガレット・クアリー | プッシーキャット | クリフを「スパーン牧場」に招く若いヒッピーの女 実際のファミリーには存在しない架空のキャラクター |
オースティン・バトラー | テックス | ポランスキー邸襲撃メンバーの1人で、マンソンの右腕的な存在 本名は“チャールズ・ワトソン” |
ダコタ・ファニング | スクィーキー | “ジョージ・スパン”の世話係で、本名は“リネット・フロム” |
マディセン・ベイティ | ケイティ | ポランスキー邸襲撃メンバーの1人で、赤毛の髪が特徴 本名は“パトリシア・クレンウィンケル” |
マイキー・マディソン | セイディ | ポランスキー邸襲撃メンバーの1人で、黒髪に青白い顔が特徴 本名は“スーザン・アトキンス”で「シャロン・テート殺害事件」の主犯 |
ブルース・ダーン | ジョージ・スパーン | 「スパーン牧場」のオーナーで盲目の男 マンソン・ファミリーに利用されていた |
ロレンツァ・イッツォ | フランチェスカ・カプッチ | リックがイタリア滞在中に結婚したイタリア人女優 |
コスタ・ローニン | ヴォイテク・フリコウスキー | シャロンの友人で脚本家志望の男、フォルジャーの恋人でもある |
サマンサ・ロビンソン | アビゲイル・フォルジャー | シャロンの友人で、フリコウスキーの恋人 コーヒーブランド「フォルジャーズ」の跡取り令嬢 |
マイケル・マドセン | ハケット保安官 | 「賞金稼ぎの掟」に登場する人物 |
名優“アル・パチーノ”や“カート・ラッセル”を贅沢に起用していますが、彼らをもっと観たかった気もします。
「ビバリーヒルズ高校白書」で人気者となった“ルーク・ペリー”や、「レザボア・ドッグス」の“マイケル・マドセン”なんかも密かに出演しているのがいいですね。
シャロン・テート役の“マーゴット・ロビー”が可愛らしかったです。
なかなか面白いキャスティングだね
“ブルース・リー”もいたし
感想
最初にこの映画を観た時は、“シャロン・テート”や“チャールズ・マンソン”ことも知らないし「シャロン・テート殺害事件」についても知りませんでした。
なので観終わった時には、「どういうこと?タランティーノは何を見せたかったんだ?」となってしまいました。
それからいろいろと調べて事件のことも知り、改めて映画を視聴しました。
まだこの映画を観ていない方は、「事件とマンソンについては知っておいた方がいい」と私は思います。
知っていれば誰がマンソンなのか認識し、何が起きているかわかるはず。
調べた上で観た2回目は、よりこの映画が面白くなりました。
リック
西部劇ドラマ「賞金稼ぎの掟」でスターとなったリックは、ハリウッドの時代の流れについていけず今では若手の“かませ犬”的な存在になっている。
最初は嫌がっていた“イタリア映画”に出演することを決める。
リックは西部劇での成功に甘んじて、努力をしなくなってしまったのではないでしょうか。
前日の深酒の影響で台詞を何度も飛ばしたり、監督の要求にも文句を言う始末。
身の回りの世話や支えてくれるクリフがいなければ、彼のキャリアはとっくに終わっていると思います。
少女とのシーンは笑えましたが、情けないディカプリオもいいですね。
リック・ダルトンのモデルとなった俳優は、“バート・レイノルズ”だと言われている。
クリフ
戦争の帰還兵であり、郊外のトレーラーハウスで愛犬のピットブルのブランディと暮らすクリフ。
リックのスタントマンである彼は、リックの仕事の減少の影響を受けてしまいます。
しかし、クリフはリックと違って全く焦る様子がありません。
仕事を取るために自らは動きませんが、彼は自分の人生を生きている感じがします。
ある意味…何も考えずに毎日を生きている。
だらしないわけではなく、リックの言うことはしっかり聞くし世話もする。
問題があるとすれば暴力でしょうか…最後はやり過ぎですよね…。
この映画で、初のアカデミー賞助演男優賞を受賞した“ブラッド・ピット”。
やけに老けていた感じもしましたが、やっぱり“ロバート・レッドフォード”に似ていますね。
クリフ・ブースのモデルとなったのは、バート・レイノルズのスタントマン“ハル・ニーダム”だと言われている。
シャロン
当時のハリウッドで、新星として売り出し中だった女優シャロン。
タランティーノが彼女について調べたところ、どの資料を見ても“天使”のようだと書かれていたようです。
確かにとても可愛らしい女優さんで、それだけに若くして亡くなってしまったのが残念でなりません。
この作品でシャロンを演じたのは“マーゴット・ロビー”ですが、彼女もまた非常にカワイイ女優さんです。
映画館で、自分のシーンと観客の反応を見て微笑むシーンはとても可愛かったです。
事件当時の彼女は26歳で妊娠8ヶ月でしたが、そんな彼女を容赦なく何度もナイフで刺した犯人が許せません。
マンソンに操られ、本当に自分たちを悪魔だと思っていたのでしょうか…。
彼らは、犯行時に“誰を殺したか”は一切知らなかったようです。
「バービー」の人なんだね
ブロンド美人!
1960年代のアメリカ
反戦運動や黒人解放運動など、若者のエネルギーが溢れていた時代。
ヒッピー文化、マリファナやLSDなどのドラッグ、ロックやフォークミュージックなどが流行り「カウンターカルチャー」と呼ばれました。
映画内では、映画館の入場料金が75セントでした。
私がアメリカにいた2000年あたりは、映画は学生で$5.75で一般は$7.5ぐらいだったでしょうか。
今のアメリカは日本車が大量に走ってますが、映画を観ると当時は全く走ってないですね。
そもそも、アメリカで日本車が普及し出したのは1970年代後半です。
1960年代のアメ車は、今見てもお洒落でカッコいいですよね。
音楽は「ザ・ビーチ・ボーイズ」「ザ・ローリング・ストーンズ」「ジミ・ヘンドリックス」などが流行っていました。
「California Dreamin’」など、昔オールディーズで聴いたような曲がたくさん出た時代です。
この頃を生きた若者たちは、“最高に楽しい時”を過ごしたのではないでしょうか。
もし“タイムトリップ”出来るのなら、この時代のアメリカに行ってみたいですね。
襲撃シーン
本来はポランスキー邸を襲撃する最後のシーンですが、映画ではリック邸を襲撃しています。
俳優に対する半ば強引な理由付けでしたが、ポランスキー邸からリック邸にプラン変更している。
タランティーノは、あの悲惨な殺害事件を再現したくなかったのかもしれません。
犯人への復讐の意味を込めて、必要以上の反撃を描いたのでしょうか。
まさか、あそこでまた「火炎放射器」が出てくるとは…笑
確かに、事実通りの残酷な殺人は観たくはないし…“シャロンに何事もなかった”というパターンを映画の中だけでも残しておきたい。
タランティーノがどう思ったのか知りませんが、私はそんな気持ちになりました。
マンソン・ファミリー
チャールズ・マンソン率いるカルト集団「マンソン・ファミリー」
「オウム真理教」もそうですが、度々こういうカルト集団が現れます。
マンソン・ファミリーは、ヒッピー文化の中で“社会を知らない家出少女たちが、年上の大人を信じてしまった”と考えればまだあり得ない話ではないかもしれない。
しかし、現代社会で「オウム真理教」や「統一教会」などを、なぜ信じてしまうのでしょうか。
教祖と言われる人がどんな思想を述べても、たとえそれが犯罪であっても信じてしまう。
正常な判断が出来なくなってしまうのは、“マインド・コントロール”なのか…恐ろしいですね。
ファミリーの少女たちの親たちは、成す術がなかったのでしょうか…
チャールズ・マンソン、テックス・ワトソン、スーザン・アトキンス、パトリシア・クレンウィンケルは、1971年に“死刑”を宣告されました。
しかし、1972年にカリフォルニア州の「死刑一時撤廃」により、終身刑に減刑されアトキンスは2009年9月24日に脳腫瘍で獄中死。
マンソンは2017年11月19日に、カリフォルニア州ベーカーズフィールドの病院で急性心筋梗塞により83歳で死去した。
ちょっと前まで生きてたのか…
獄中でも最後まで罪を認めず、謝罪も反省もなかったらしいよ…
評価
Rotten Tomatoesでは、トマトメーター(批評家)86% ポップコーンメーター(観客)70%
metacriticでは、メタスコア(批評家)84/100のMUST-SEE ユーザースコア(観客)7.5/10
IMDbでは、IMDbレーティング7.6/10 ユーザー評価7.5/10
全体的に高めの評価となっています。
ロッテントマトは厳しめの評価ですが、メタクリティックではMUST-SEEが付いています。
私のように背景を知らずに観て、もう一度観直さなかったら低めの評価になってしまうかもしれません。
まとめ
2019年に公開されたタランティーノ監督9作目となる「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
“レオナルド・ディカプリオ”と“ブラッド・ピット”の初共演作で、ブラッド・ピットはこの作品で初のアカデミー賞助演男優賞を受賞しました。
1969年に実際に起きた「シャロン・テート殺害事件」を背景に、当時のハリウッド映画界を描いています。
この作品を観るのであれば“チャールズ・マンソン”という男と、“シャロン・テート”という女優について知っておいた方がいいと思います。
彼女に起こった悲劇は、私もこの映画を観て初めて知りました。
メインで描かれるのは、西部劇のテレビスターから転落してしまった“リック・ダルトン”と、彼の親友で専属スタントマンの“クリフ・ブース”の話です。
彼らは架空の人物ですが、“スティーブ・マックィーン”や“ブルース・リー”など実在した人物も出てくる。
CGが大嫌いなタランティーノが、当時のハリウッドを完全再現しています。
161分という長い作品ですが、映画オタクである「タランティーノの世界」をお楽しみください!
最後まで読んでいただきありがとうございます
むかーし、むかし…あるところに…