2025年10月3日に、日本で劇場公開された「ONE BATTLE AFTER ANOTHER」
「ブギーナイツ」の“ポール・トーマス・アンダーソン”(PTA)が、監督・製作・脚本を務めている作品。
主演は“レオナルド・ディカプリオ”で、共演は“ショーン・ペン”と“ベニチオ・デル・トロ”と超豪華な顔ぶれ。
どんな内容か知らないけど…めっちゃ気になる!
近くのイオンシネマでは、公開されて間もないころからキャパ少なめのスクリーンで上映している。
この映画は、現在も大ヒット中の「鬼滅の刃 無限城編」や「チェンソーマン レゼ篇」、「ゴールデンカムイ 札幌ビール工場編」など、アニメ勢の陰に隠れているような気もするのだが…。
“これで面白かったらもったいないな”と思いながら、観に行くことに決めました。

イオンシネマに舐められてる…



誰がスクリーン決めてんだ?!


映画「ONE BATTLE AFTER ANOTHER」
ワーナー・ブラザース ジャパン公式Xより
ワン・バトル・アフター・アナザー(英題:One Battle After Another)は、2025年公開のアメリカのアクション・スリラー映画。
脚本・監督・製作を“ポール・トーマス・アンダーソン”が務めている。
STORY
かつては革命家で「フレンチ75」のメンバーであった“ボブ・ファーガソン”は、愛する娘の“ウィラ”と平凡な日々を過ごしていた。しかし、突然ウィラが拐われてしまい生活が一変してしまう。ボブは執拗に追ってくる軍人“スティーブン・ロックジョー”たちから逃れるため、娘の空手道場の“センセイ”の助けを借りる。長い眠りから次第に目覚めてきたボブは、かつての闘争心を思い出し娘を救うために奮闘する。
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
上映時間:162分



“ショーン・ペン”久しぶりに見た!



“ロックジョー”はヤバいぜ!
監督
ポール・トーマス・アンダーソン
ポール・トーマス・アンダーソン(PTA)は、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス出身の映画監督、脚本家、映画プロデューサー。
父親は俳優・司会者のアーネスト・アンダーソンで、10代の頃からビデオカメラを与えられ脚本も書き始めた。
ニューヨーク大学に入るが直ぐに中退し、テレビ番組のプロダクション・アシスタントを経験して短編映画を製作するようになる。
1992年に短編映画「シガレッツ&コーヒー」がサンダンス映画祭で注目され、1996年「ハードエイト」で長編映画監督デビュー。
1997年に2作目の「ブギーナイツ」がヒットし、アカデミー脚本賞にもノミネートされた。
1999年に“トム・クルーズ”らを起用した「マグノリア」で、ベルリン国際映画祭の金熊賞を受賞し再び高い評価を得る。
2002年「パンチドランク・ラブ」で、カンヌ国際映画祭 監督賞を受賞。
2007年「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」では、ベルリン国際映画祭 監督賞など数多くの監督賞を受賞した。
2012年6作目となる「ザ・マスター」でヴェネツィア国際映画祭 監督賞を受賞し、世界三大映画祭の全てで監督賞を受賞した特別な映画監督となる。
2014年「インヒアレント・ヴァイス」、2017年「ファントム・スレッド」、2021年「リコリス・ピザ」
2025年“レオナルド・ディカプリオ”主演で、10作目となる「ワン・バトル・アフター・アナザー」を製作した。
PTA作品は、家族・親子の確執や孤独や疎外感、ユニークなキャラクター描写、ロングテイクなどが特徴です。
「シガレッツ&コーヒー」や「ブギーナイツ」、「マグノリア」は昔観ましたが、監督がPTAだとは認識していませんでした。
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」、「パンチドランク・ラブ」など、他のPTA作品も観たくなりました。
しかし、たった6作で世界三大映画祭を制してしまうなんて凄過ぎます。
主演
レオナルド・ディカプリオ(ボブ・ファーガソン役)
レオナルド・ウィルヘルム・ディカプリオは、カリフォルニア州ロサンゼルス出身の俳優、脚本家、映画プロデューサー、環境活動家。
10代でCMやテレビドラマに出るようになり、1993年ジョニー・デップ主演の「ギルバート・グレイプ」で19歳の若さでアカデミー助演男優賞にノミネートされる。
その後も、1995年「バスケットボール・ダイアリーズ」1996年「ロミオ+ジュリエット」と出演を重ね、1997年ジェームズ・キャメロン監督の「タイタニック」で一躍スターとなる。
2002年マーティン・スコセッシ監督の「ギャング・オブ・ニューヨーク」に主演し高い評価を得る。
2004年、初めてプロデュースした「アビエイター」で再びスコセッシと組み、ゴールデングローブ賞ドラマ部門主演男優賞を受賞。
それ以降も「ディパーテッド」「ブラッド・ダイヤモンド」「インセプション」などで主演し、2013年「ウルフオブウォールストリート」で再度スコセッシとタッグを組みゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞。
2015年「レヴェナント:蘇えりし者」で悲願のアカデミー主演男優賞を受賞した。
2019年「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」、2021年「ドント・ルック・アップ」、2023年「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
2025年には、念願のPTA作品「ワン・バトル・アフター・アナザー」に主演した。
また、映画人の他に環境活動家の一面を持っている。プリウスなどのハイブリッドカーを所有したり、代替肉やヴィーガン食品のハンバーガー開発会社などに投資している。
PTA監督の2作目である「ブギーナイツ」のオファー、それを「タイタニック」出演のために断ったディカプリオ。
彼は、この「ブギーナイツ」を蹴ったことを“人生最大の後悔”だと語っていた。
時は流れ…ついに念願のPTAとのタッグが実現し、素晴らしい作品で素晴らしい演技を披露してくれました。
キャスト
役者名 | 役名 | 説明 |
---|---|---|
レオナルド・ディカプリオ | “ゲットー”・パット・カルフーン/ボブ・ファーガソン | 極左革命グループ「フレンチ75」の元メンバーで、爆弾作りを担当していた パーフィディアとの間にウィラが生まれ、“ボブ・ファーガソン”と名乗り隠居生活を送っている 酒とマリファナに溺れ、かつての革命家の面影はない |
チェイス・インフィニティ | シャーリーン/ウィラ・ファーガソン | パットとパーフィディアの16歳になる娘で、パットから「危険から身を守る術」を教えられて育ってきた 革命家だった父親の過去に巻き込まれ、ロックジョーに狙われることとなる |
ショーン・ペン | スティーブン・J・ロックジョー | 「フレンチ75」を壊滅させるため、メンバーを追い回し逮捕や殺害をする軍人 白人至上主義の秘密組織“クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブ”への入会を懇願している |
ベニチオ・デル・トロ | センセイ/セルヒオ・セント・カルロス | かつては「フレンチ75」のメンバーで、現在はウィラの空手の“センセイ”であり移民コミュニティの支援者でもある 冷静な判断でボブをサポートする |
テヤナ・テイラー | パーフィディア・ビバリーヒルズ | 「フレンチ75」のメンバーでボブとの間にウィラを産むが、革命活動を優先し直ぐに家を出ていってしまう ロックジョーに捕まるが、ある取引を持ちかける |
レジーナ・ホール | デアンドラ | 「フレンチ75」のメンバーでボブとパーフィディアの同士 情に厚い性格で、ウィラを手助けする行動に出る |
アラナ・ハイム | メイ・ウエスト | 「フレンチ75」のメンバー |
ウッド・ハリス | ラレド | 「フレンチ75」のメンバー |
シェイナ・マクヘイル | ジャングル・プッシー | 「フレンチ75」のメンバー |
ポール・グリムスタッド | “ビリー・ゴート”/ハワード・サマーヴィル | 「フレンチ75」のメンバーで、ロックジョーに捕えられ仲間に危険信号が発せられる |
トニー・ゴールドウィン | ヴァージル・スロックモートン | 白人至上主義の秘密結社「クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブ」のメンバー |
ジョン・フーゲナッカー | ティム・スミス | 「クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブ」に暗殺者として雇われ、ロックジョーを始末しに向かう |
エリック・シュヴァイク | アヴァンティQ | ウィラを処分するようにロックジョーから依頼されている男 |


感想
この作品は、笑えるし緊張感もありでめっちゃ面白かったです!
162分という長さですが、退屈せずに最後まで観ることが出来ました。
ディカプリオも面白かったし、ショーン・ペン演じる“ロックジョー”が最高でした。
ベニチオ・デル・トロの“センセイ”もチェイス・インフィニティの“ウィラ”も、それぞれのキャラクターがユニークでPTA作品らしさが出ていたと思います。
公開前は観に行く予定はなかったんですが、劇場に観に行って良かったと思える映画でした。
終盤のカーチェイスは斬新な演出で、緊張感もあり非常に見応えのあるシーンで感心してしまった。
PTA作品、ディカプリオ映画の中でも“傑作”と言えるものではないでしょうか。
パット(ボブ)
「フレンチ75」の爆弾担当で、移民センターなどを襲っていたパット。
同士のパーフィディアと暴れ回り、やがて二人は恋人関係に…。
「フレンチ75」は架空の組織ですが、派手に暴れ回っても全く捕まりません。
“移民の解放”は、現トランプ政権への皮肉とも感じる。
パットとパーフィディアは、革命と言いながらも個人的に楽しんでいるようにも見えた。
2人の間に娘のシャーリーン(ウィラ)が生まれ…パットは過保護になり革命より娘が最優先となった。
普通は男が家族を置き去りにするパターンが多いが、この作品では逆でパーフィディアが去っていく。
16年後
パットは“ボブ・ファーガソン”、シャーリーンは“ウィラ・ファーガソン”と名乗り、聖域都市で隠居生活を送っていた。
小さい頃から娘には、「危険から身を守る方法」を教えていたようだ。
酒とマリファナに溺れながらも、いつか訪れる危機のための準備はしていたボブ。
ウィラの友達が、彼女を迎えにきた時のボブの対応が笑えました。
学校の面談でウィラが褒められれば泣き、自宅から緊急避難する際に用意していたバッグには娘の可愛いバッグも付いていた。
堕落した生活をしているが、娘への愛はとても伝わってきます。
ウィラが拐われ“センセイ”に救いを求め、脱出経路を指示されるボブ。
しかし、若い頃のようには走れない…昔覚えた暗号も思い出せない。
電話のシーンはめっちゃ笑えました。
ダメダメなディカプリオの姿には、もう「タイタニック」の“レオ様”の面影は微塵もありません。
いい作品のいい役を演じられて、本人も大満足なのではないでしょうか。
パーフィディア
前半しか出ないものの、強烈な印象を残したパーフィディア。
「フレンチ75」の特攻隊長のような、強気で勢いのある女性です。
“ロックジョー”との初対面のシーンから凄い!笑
爆弾を設置して、逃げながらパットとやろうとしたのには笑いました。
どちらかと言えば、パットの方がまともでパーフィディアはイカれています。
同じくイカれてるロックジョーとの方が、お似合いなのではないでしょうか。
結局、保身のために仲間を売りメキシコに逃亡…裏切り者と言われる。
娘に手紙を書いていましたが、事実上“捨てた”と同じなので…「今さら何を言ってんだ」としか思いませんでした。
ロックジョー
この映画の中で、強烈なインパクトと笑いを提供してくれたロックジョー。
登場から笑わせてもらい、最後は少し切なさも感じました。
性格から歩き方まで、かなり“クセの強い”キャラクターです。
「フレンチ75」壊滅のために動き出すロックジョー、パーフィディアとの取引で次々とメンバーを捕まえたり殺害したり…。
その活躍が評価され、ロックジョーは“大佐”へと昇進する。
残りのメンバーである…デアンドラやボブにも危険が迫ります。
ロックジョーが追ってくると非常に緊張感が出るんですが、ウィラと追っかけっこしたりするのが笑える。
そんな彼も刺客に狙われ、一度は奇跡が起きるものの…切ない最後を迎えます。
かつての“ショーン・ペン”のイメージからは、想像もつかないような役柄でした。
だから余計にインパクトがあったし、最高のキャラクターに仕上がっていました。
ロックジョーを主人公にした「スピンオフ」が作れそうですね。



ターミネーターみたいに追ってくる



確かに…
クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブ
ロックジョーは、白人至上主義の秘密結社「クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブ」に入会したい。
しかし、クラブは有色人種との交流すら許さない。
「俺は黒人が大好きだ」と言うロックジョーは、パーフィディアと関係を持っていた。
血縁関係の確認と証拠隠滅のために、ロックジョーはウィラを捕えます。
てか、「クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブ」って何だよ!笑
有色人種と交流があってはならない…という極端な条件も笑えます。
彼らはどこから資金を得て、どんな活動をしているのでしょうか。
クラブがロックジョーの過去を調べ、パーフィディアとの関係に辿り着き…彼は“不適切”だと診断される。
ロックジョーがどこでクラブのことを知り、入会して何をしたいのかが知りたかったですね。
センセイ
ウィラの空手の先生であり、移民コミュニティの支援者でもあるセンセイ。
ボブとは対照的に非常に落ち着いていて手際がいいし、コミュニティのみんなも素直に彼の言うことを聞いている。
危機的状況下において、ボブやみんなに的確な指示を出すリーダーシップ。
空手を通じて“武道”を学び、常に冷静な精神を手に入れたのではないでしょうか。
ボブに「畳を踏むな」と言っていたのが良かったです。
“ベニチオ・デル・トロ”が空手の先生ってだけで面白いですが、彼の空手も観てみたかったですね。
ボブに言った「自由とは恐れないことだ トム・クルーズみたいにね」が笑えました。
ウィラ
16歳になったウィラ、空手のシーンから始まります。
最初は何て言ったか聞き取れませんでしたが、2回目に「平安二段」と言ってるのがわかりました。
これは空手の“型”の名前で、空手経験者なら誰もが知っていると思います。
ウィラは、なかなかしっかり空手の型をやっていましたよ。
ボブが、自己防衛のために娘に空手を習わせたのでしょう。
空手で精神も鍛えられたのか、酒やマリファナばかりやっている父親がいてもウィラはしっかりしています。
男一人で育ててくれたことに感謝しているのかな…ちゃんと言うことも聞くし。
ロックジョーやアヴァンティQに捕まっても、諦めずに必死に逃げようとする強い子。
演じた“チェイス・インフィニティ”が、顔が小さくて可愛かったです。
カーチェイス
クライマックスのカーチェイスは圧巻でした。
あんなカーチェイスは、過去に見たことがありません。
撮影は、カリフォルニア州ボレゴ・スプリングスのハイウェイ78号線で行われました。
車線変更もしないし、他の車もなく3台だけのカーチェイス。
地形を活かした斬新な映像演出で、緊張感もあるんです。
これは是非、映画を観て確かめて欲しい!
ウィラは…アヴァンティQが乗っていた“ダッジ・チャージャー”、それを追うティムは…“フォード・シェルビーGT500”、最後尾のディカプリオは…日産サニーの北米版“日産・セントラ”でした。
しかも、セントラはウィングが付いていたりマフラー変えたり…イジってあったので笑えました。
ディカプリオが、日産サニーのイジったやつ乗ってる姿が滑稽でしたね。笑
さらに、よく見るとフロントグリルに“JAF”の赤いバッジが付いているじゃありませんか!
劇場でそれに気づいたとき、思わず笑ってしまいましたよ。
評価
Rotten Tomatoesでは2025年10月18日現在、トマトメーター(批評家)95% ポップコーンメーター(観客)85%
metacriticでは、メタスコア(批評家)95/100のMUST-SEE ユーザースコア(観客)7.4/10
IMDbでは、IMDbレーティング 8.3/10 ユーザー評価 8.0/10
どのサイトでも、非常に高い評価を得ています。
PTA作品の中でも“最高傑作”だと言う声も上がっています。
2026年のアカデミー賞“最有力候補”とも言われていますね。


まとめ
2025年10月3日から劇場公開されている映画「ONE BATTLE AFTER ANOTHER ワン バトル アフター アナザー」
監督・脚本・製作を手がけるのは、PTAこと“ポール・トーマス・アンダーソン”です。
主演は“レオナルド・ディカプリオ”で、共演には“ショーン・ペン”と“ベニチオ・デル・トロ”という顔ぶれ。
この時点で、「面白くないわけがない」と期待せざるを得ません。
元革命家だった男が娘が生まれたことで変わり、時が過ぎたある日に拐われた娘を取り戻すというストーリー。
この物語の中に、クセの強い者たちが登場します。
特に、ショーン・ペン演じる“ロックジョー”が最高で笑わせてくれます。
162分という長さを感じさせない“PTAマジック”が凄い!
クライマックスの“カーチェイス”は必見で、これまで観たことのない斬新な演出になっている。
天才PTAが手掛けた傑作「ONE BATTLE AFTER ANOTHER」、2026年のアカデミー賞最有力候補と言われています。
ぜひ、劇場で鑑賞してみてください!!



最後まで読んでいただきありがとうございます



Viva La Revolution!