「ひゃくえむ。」は、映画館で観ようと思っていたけど観れなかった作品。
新年になってNETFLIXを開けたら、なんと配信されているじゃあないですか。
どうやら、昨年12月31日から配信されたようです。
正直「早くない?」と思いましたが、こんなに早く観れるなんてラッキーです。
魚豊さんの「チ。-地球の運動について-」がめちゃくちゃ面白かったので、この作品にも期待をして観ることに!
チャミンもうサブスク来た!



早くてびっくりだね!


劇場アニメ「ひゃくえむ。」
劇場アニメ「ひゃくえむ。」公式Xより
ひゃくえむ。(100M.)は、漫画家・魚豊(うおと)原作の漫画を映画化した作品であり、2025年9月19日に劇場公開された。
ウェブコミック配信サイト「マガジンポケット」で、2018年11月6日から2019年8月6日まで連載されていた魚豊の連載デビュー作。
STORY
生まれつき足が速く友達も多かった“トガシ”と、現実を忘れるためがむしゃらに走っていた転校生の“小宮”。トガシは放課後に小宮に速く走る方法を教え、毎日のように練習を重ねた。やがて小宮は転校してしまったが、数年後にトガシの前にトップランナーに成長した小宮が現れる…。
監督:岩井澤健治
上映時間:106分



100m走に人生を懸けた男たちか…



100m走に人生を狂わされた男たちでもある…
登場人物
| 役名 | 説明 | 声優 |
|---|---|---|
| トガシ | 生まれつき足が速く“友達”も“居場所”もある才能ある小学生 100m走に人生を懸けるが、その100m走に悩まされることとなる | 松坂桃李 種崎敦美(小学生) |
| 小宮(こみや) | 現実を忘れるために夢中で走る転校生 トガシと出会い走り方を教わり、100m走に魅了されていく | 染谷将太 悠木碧(小学生) |
| 浅草 葵(あさくさ あおい) | トガシが通う鰯第二高校陸上部の先輩で、トガシを陸上部に勧誘する | 高橋李依 |
| 椎名 スズメ(しいな すずめ) | トガシが通う鰯第二高校陸上部の先輩部員 | 田中有紀 |
| 仁神 タケル(にがみ たける) | 中学陸上界のスター選手で、父親は100m走の元日本代表 トガシが通う鰯第二高校陸上部では幽霊部員となっていた | 笠間淳 |
| 尾道(おのみち) | 二神の元チームメイトで自称ライバル | 杉田智和 |
| 経田(つねだ) | 小宮の所属する西沢高校陸上部の部長で、九州ナンバーワンの実力を持つ | 石谷春貴 |
| 沼野(ぬまの) | 小宮の所属する西沢高校陸上部の部員 | 榎木淳弥 |
| 海棠(かいどう) | トガシが所属する株式会社クサシノの先輩アスリート 陸上界のトップランナーだったが、財津にトップの座を奪われてしまった | 津田健次郎 |
| 樺木(かばき) | トガシが所属する株式会社クサシノの後輩で、将来有望なアスリート | 内田雄馬 |
| 財津(ざいつ) | 陸上界の絶対王者で、100m走の日本記録保持者 小宮の所属する西沢高校陸上部のOB | 内山昂輝 |
| 森川(もりかわ) | トガシに憧れて陸上を始めた若手アスリート | 石橋陽彩 |


感想
100m走に人生を懸けた男たちの“栄光”と“苦悩”、“挫折”など、見事に描いている素晴らしい作品でした。
アスリートでも成功者でも、我々はほとんど華やかな場面しか見ません。
その裏側にはどんな思いや苦労があったのか、そんな知られざる姿がリアルに描かれている。
1つの競技に人生を懸けるリスク、トップを取ってからのプレッシャー、競争の世界に身を置く過酷さ。
何のために走り、その先に何があるのか…。
100m走に魅了され人生を懸け、その100m走に人生を狂わされる。
とても深く考えさせられる作品でした。
トガシ(小学生)
生まれつき足が速く、小学生の頃は敵なしの全国トップだったトガシ。
小学生の頃って、足が速いと人気者でモテるんですよね。
トガシの周りにも常に友達がいました。
トガシは、転校生としてやってきた“小宮”に速く走る方法を教える。
「謎の理由」で走り続ける小宮が気になったのだろうか。
トガシは言う「この世界には、凄く簡単なルールがあるんだ。大抵のことは…100mを誰よりも速く走れば全部解決する。」
そんなこと言う小学生いるかよ!?
そう思ったが、大人が描いているんだから仕方がない。笑
そういえば、小学生の頃って50m走はよく走ったけど…100mなんてほとんど走ったことなかった気がします。
小学生で100m全国1位なんて、相当ヤバい奴ですよね。
そう考えると、あんな持論を言うかもしれないとも考えられる。
トガシ(高校生)
無敵だったトガシも、中学生の頃は記録が伸び悩んでいた。
陸上とは無縁の高校に進学し、そこでまた目を覚ます。
ここの鰯第二高校のパートはけっこう好きです。
トップランナーだった仁神の変わり果てた姿、そしてチームで勝利を目指す感じがいい。
そして、立派なランナーに成長した小宮との再会。
インターハイでは…
このインハイの決勝シーンが素晴らしい!
トガシ(社会人)
社会人になっても陸上を続けているトガシ。
生まれつき足が速かったトガシにとって、陸上競技の道に進むことは最も簡単な選択だった。
ここまできたら、もう他の選択肢はなかったのかもしれない。
しかし、思ったような結果は出ず苦しむこととなる。
トガシの思いが込み上げて大泣きするシーンが良かったです。
100m走に人生を懸けてきた男は、100m走に悩み苦しみ続けてきた。
そんなトガシも最後には、自分が何のために走っているのか…が明確になっていた。
最終カットの笑顔がとても印象的でした。
小宮
小学生の時に、トガシのクラスへ転校してきた小宮。
“現実をぼやけさせるため”にがむしゃらに走り続ける小学生って…。
まだ小学生なのに、そんなに嫌なことがあるんだ?
家庭問題かな?!
トガシから速く走る方法を習い、放課後に一緒に練習を重ねる。
そして、小宮はいなくなった…。
あんなに親身になって教えてくれたトガシにも別れを告げず…。
なかなか薄情な男ですね小宮は。
小宮(高校生)
中学時代は自主練を重ね、高校は陸上の有名校に進学した小宮。
財津からの助言により、覚醒し頭角を表していく。
インターハイでトガシと久々の再会を果たすが、2人の人生は入れ替わったかのようになっていた。
小宮は相変わらず友達はいなさそうだし、走ることにしか興味がなさそうな感じ。
それだけトガシに影響されたということかもしれない。
小宮(社会人)
トガシと同様に、社会人になっても陸上を続けている小宮。
トガシと違い、小宮は第一線で走り続けている。
しかし、小宮も自分が“何のために走っているのか”がわからなくなっていた。
「記録」だけを追い求めてきた小宮だったが、その記録の先に何があるのか…わからない。
そして、再びトガシに会い…あの頃と同じように気付かされる。
この展開がにくいですよね〜。
最後は、2人とも満足そうでいいシーンでした。
仁神
中学陸上界のスター選手だった仁神。
しかし、怪我で表舞台を去り地元の高校へ編入した。
トガシと走りどこかスッキリした様子の仁神は、再びトップランナーを目指します。
短距離のサラブレッドとして育てられた仁神は、プレッシャーに押し潰れされそうになりながら生きてきた。
“長嶋一茂”のように、親が有名スポーツ選手だと大変ですよね。
当然のように期待されてしまいますからね…。
「1位を取ったらもう楽しいだけに戻れない」
「継続できなきゃ実力じゃない。実力のない栄光は悲劇を生むんだ。この世には“たかが100m”に狂わされる人間もいる。」
トップを走っていた仁神だからこそ言える深い言葉です。
怪我は仕方ないんですが、人生を懸けたアスリートには致命的です。
怪我のリスクも考えると、プロアスリートの世界はかなり厳しいと言える。
表舞台に戻った仁神は、負けてもどこか満足そうなところが好きでした。
海棠
トガシが所属する企業の先輩アスリートである海棠。
トガシがアドバイスをもらう程のトップアスリートだが、彼もまた100m走に人生を狂わされた人物だ。
“上には上がいる”という現実を見せられ続けてきた。
おそらく30代のはずだが、「こいつ一体いくつなんだよ!?」という風貌。
しかし、海棠は誰よりも自分自身を信じている。
「俺の勝利が非現実的なら、俺は全力で現実から逃避する。現実逃避は俺自身への期待だ。俺が俺を認めてない姿勢だ。たとえ周りがどんな正論、洞察、心理、啓蒙を振りかざそうと…俺は俺を認める。」
シブいですね〜。こんなことなかなか言えないですよ。
でも、“自分を信じる”というのは大事なことですよね。
財津
小宮のいる西沢高校のOBで、100mの現日本記録保持者の財津。
15歳からずっとトップランナーとして生きてきたクールな男。
「不安は対処すべきではない。人生は常に失う可能性に満ちている。そこに命の醍醐味がある。」
この言葉が小宮を変えた。なかなか深い言葉です。
確かに、不安を考えていたらキリがありませんし…考えるだけ時間の無駄だということですね。
「横を見ても誰もいない…そこから見える景色は最下位のそれと同じだ。こんなに退屈なことはない。本当の勝利を…歓喜を与えてくれるのは、記録でもメダルでもない…対戦相手だけだ。」
ずっとトップを走り続けてきた財津だから言える、財津だけが見ていた景色、対等な相手がいるからこそ面白い。
この財津の考えはけっこう好きだったし、最後のメッセージも良かったですね。
レースシーン
このアニメーションは、走っている描写が凄くリアルでした。
足の動きも手の動きも、それに連動する体の動きも…とても上手く表現されているなと感じました。
あまりこんなリアルに走っているアニメーションを観たことがない気がします。
特に、全力で走って止まるまでの脱力感が素晴らしかった。
力の抜け方や体の傾きなど、細かいところまで表現されていました。
歯を食いしばって、がむしゃらに走る描写も良かったです。
決着
この作品では、決勝レースの決着が明確に描写されていません。
その後のシーンを観ればわかるんですが、空を映して音だけだったり…ゴールシーンがなかったり。
個人的には嫌いではないというか、それでもいいかなと思いました。
同着ぐらいで「どっちが勝ったのか」とやるのも…ありきたりですからね。
そんなことより、トップアスリートたちが抱えているプレッシャーや心情の方を伝えたかったのでしょう。
評価
Rotten Tomatoesでは2026年1月10日現在、トマトメーター(批評家)100% ポップコーンメーター(観客)94%
metacriticでは、メタスコア(批評家)72/100 ユーザースコア8.5/10
IMDbでは、IMDbレーティング7.7/10 ユーザー評価8.1/10
どのサイトでも非常に評価が高くなっています。
人種は関係なく、トップアスリートが抱える心情は世界共通だということでしょう。
走るアニメーションの素晴らしさや、台詞についても高く評価されていました。


まとめ
2025年12月31日から、NETFLIXで配信されている劇場アニメ「ひゃくえむ。」
昨年に劇場で観たかった作品ですが、早くもNETFLIXで配信されました。
“100m走に人生を懸けた男たち”の栄光と苦悩を描いた作品です。
全力で走るリアルなアニメーション、トップランナーたちが抱えるプレッシャー、印象的な台詞など、どれも素晴らしかった。
非常に深い台詞が多くて、何度も見返して聞きたくなりました。
我々はトップアスリートたちの華やかな場面ばかり目にしますが、その裏にある苦悩や心情などがリアルに描かれています。
原作は「チ。-地球の運動について-」の魚豊、彼の連載デビュー作。
国内だけでなく海外での評価も高い作品なので、ぜひ視聴してみてはいかがでしょうか。
「チ。-地球の運動について-」をまだ観たことがないという人は、こちらも面白いので観てほしいです。



最後まで読んでいただきありがとうございます



現実は勝手に消えてくれない








