世界初の“スマートフォン”として鮮烈なデビューを飾った“BlackBerry”
当時は、PCではなく携帯電話で“E-mail”が出来るのは画期的でした。
ブラックベリーが発売された2002年頃はアメリカに住んでいましたが、確かにブラックベリーを使っている人(特にビジネスマン)は多かった印象があります。
いつの間にか市場から消えていたことにも気づきませんでした。
それだけ“iPhone”が強烈で、一気にシェアを拡大していったということでしょう。
この物語は“BlackBerry”という企業の誕生と急成長から衰退までを描いた実話です。
なんで“ブラックベリー”なんだろう?
キーボードが果物の“ブラックベリー”に似てるからだって
BlackBerry
BlackBerry(ブラックベリー)は、カナダのブラックベリー社(旧リサーチ・イン・モーション, RIM)が開発した携帯端末。
1996年に発売された携帯端末に始まり、2002年に音声通話・Web閲覧・E-mailに対応した。
携帯電話に“キーボード”が付いた独特のデザインで、アメリカのビジネスマンを中心に一気にシェアを広げる。
2007年に発売された“iPhone”以前に存在した、スマートフォンの“元祖”といえる端末である。
2010年の全盛期にはスマートフォン市場でNokiaに次ぐ世界2位で、アメリカではスマホ利用者の37%にあたる約2,200万人のユーザーがいた。
2011年にはiPhoneとAndroidのユーザーがBlackBerryを追い抜き、2013年には“BlackBerry OS”はAndroidとなった。
2016年に中国の“TCL集団”にライセンスを与え、さらに2020年にアメリカの“オンワードモビリティ”がライセンスを取得した。
しかし、2022年2月にオンワードモビリティの閉鎖と共に5G対応のBlackBerryの開発中止を公表した。
映画「ブラックベリー」
JustWatch & Amazon.co.jpより
ブラックベリー(原題:BLACKBERRY)は、2023年公開のカナダの伝記・コメディドラマ映画。
STORY
1996年カナダのオンタリオ州ウォータールーで、リサーチ・イン・モーション(RIM)のCEOマイク・ラザリディスと共同設立者のダグラス・フレディンは、ビジネスマンのジム・バルシリーに「PocketLink」携帯電話の売り込みをする。売り込みは失敗したが、ある条件でバルシリーが経営に加わることになり“BlackBerry”というブランドが誕生した。その後の急成長と衰退までを描いた実話に基づいた物語。
監督:マット・ジョンソン
上映時間:121分
日本版トレーラーなかったの?
日本未公開映画だから…
感想
ガラケーしかなかった時代にいきなり現れた“BlackBerry”ですが、携帯にキーボードが付いたなんてのは斬新でクールだったと思います。
当時は一般人はほとんどスマホを持っていなかったし、自分もBlackBerryの端末を持つ必要性を感じませんでした。
全盛期は45%のシェアを獲得していたBlackBerryの誕生秘話は非常に興味深かったです。
企業の開発競争は、“勝てば天国 負ければ地獄”の非常に厳しい世界なのだなと改めて思いました。
マイクとダグ
RIMを共同設立した彼らの会社は見るからにオタクの集まりで、会社でゲームしたり皆んなで映画を観たりしていました。
マイクとダグもオタクで、せっかく新しいものを作ってもプレゼンすることが出来ません。
画期的なものを発明しても、売り捌くことが出来なければ意味がない。
エジソンのライバルと言われていた“ニコラ・テスラ”は、エジソンより優れた発明家だったのにも関わらず「マーケティング」でエジソンに差をつけられたと言われています。
“ムービーナイト”は楽しそうですが、会社としてはダメですよね…。
いいコンビですが、親友であることとビジネスは分けなければいけません。
会社が成長していく中で2人に確執的なものが生まれますが、BlackBerryから身を引いた後2013年に一緒に“クォンタムバレー・インベストメンツ”というベンチャーファンドを設立したようです。
マイク・ラザリディス
マイクは生粋の開発者でありオタクです。
私も以前にレビューした“Winny”の金子勇さんと似ています。
開発以外のことはあまり知識がなく得意ではないし、四六時中ずっと開発や研究のことを考えている。
自分を信じ、頑なにBlackBerry以外のものを認めなかった。
時と共にマイクは変化していき、親友のダグにまで噛み付くようになります。
iPhoneを認めてもう少し柔軟になれれば、違った結末になっていたかもしれません。
彼に対しては非常に残念だと感じましたが、CEOを辞任したその後はどうしているのでしょうか。
ダグ・フレギン
ダグは見るからにオタクで、どう見てもめっちゃいい奴です。
スーツを着ても、トレードマークのバンダナを外さないのには笑いました。
ダグはいつでもマイクを気にして、彼にアドバイスをしてきました。
最後までブレなかったダグは、とても素晴らしいし好感が持てます。
2007年に株式を売却したことで、どうやら大金持ちになったようなので良かったです。
この作品の監督でもある、ダグを演じた“マット・ジョンソン”の演技は素晴らしかったです!
ジム・バルシリー
最初からこやつは信用できないというか…気に入りませんでした。
実際、会社を解雇されたのに自ら辞めたと嘘をついていましたからね。
野心家過ぎて、やり方が強引でグイグイきます。
しかし、プレゼンも交渉もできないマイクたちは彼に頼るしかありません。
結果的にはやり過ぎてしまうわけですが、彼がいなかったら“BlackBerry”が世に出ていなかったのは事実でしょう。
RIMに突然現れた、全く違う人種の新しいCEOに困惑している社員が笑えました。
Made in China
ジムのオフィスにあった中国製インターフォンのノイズや最後の“Storm”のバグ。
“チャイナ・クオリティ”は世界共通ですね。
マイクはずっと中国工場を拒んでいましたが、最後は選択せざるを得なくなりました。
全ての中国製製品が粗悪品とは言いませんが、何というか…そもそもの文化というか教育など根本的なものが違うんですよね。
iPhone
2007年の“iPhone”の登場により、アメリカで45%のシェア率を誇っていたBlackBerryが一気に衰退していきます。
確かに、ボタンがない全面“タッチスクリーン”のスマホは衝撃的でした。
さらに、“アプリ”というシステムは画期的で驚きましたよね。
マイクたちが“スティーブ・ジョブズ”のプレゼンを観ているシーンが印象的だった。
私個人は、“iPhone3GS”から使い始めて“S”の周期で機種変していましたが、“iPhone12”で止まっています。
“iPhoneX”ぐらいから思っていたんですが、いい加減「高過ぎる」のとカメラの性能ばかりが良くなるだけで「全体的にはそう変わらない」という点。
でも、実際iPhoneのシェア率は日本では約7割ですが、世界では約3割なんですよね。
世界的にはAndroidユーザーの方が多いんだね
Androidの方が品揃えが豊富だし、価格もバカ高くないからね
評価
Rotten Tomatoesでは2024年6月24日現在、トマトメーター(批評家)98% オーディエンススコア(観客)94%となっています。
metacriticでは、メタスコア(批評家)78/100 ユーザースコア(観客)7.2/10となっています。
どちらも評価が高く、特にロッテントマトではかなり高い評価を得ています。
やはり、“実話”というのは物語をさらに面白く興味深いものにしますよね。
まとめ
BlackBerry社の急成長と衰退を描いた実話“BLACKBERRY”は、NETFLIXで見放題となっています。
世界初の“スマートフォン”として、特にアメリカで「一世を風靡した」BlackBerry
その急成長の裏側は、非常に興味深い内容でした。
一時は世界で45%のシェア率を誇っていたのに、“iPhone”の衝撃デビューとAndroidに市場を奪われ衰退していった。
企業の開発競争と、エンジニアの苦悩と戦いがリアルに描かれています。
この映画を観ると、なぜか“BlackBerry”が使いたくなります。
人は、既にないものに価値を感じて欲しくなってしまうものですよね。
RIMの共同設立者のダグ・フレギンを演じた“マット・ジョンソン”の演技が素晴らしいので、ぜひ注目して頂きたいです。
お暇な時にでも、一度ご覧になってみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました
緊急の“ムービーナイト”だ