NETFLIXのホームに映画「フランケンシュタイン」が表示されている。
“フランケンシュタイン”というタイトルには、正直あまり惹かれない…。
監督は誰かと見てみると…“ギレルモ・デル・トロ”…聞いたことあるなぁ。
「シェイプ・オブ・ウォーター」で、アカデミー賞作品賞と監督賞を取った監督だ!
100年以上に渡り、数多く製作されてきた同名の映画。
2025年にギレルモ・デル・トロが、あの“フランケンシュタイン”をどう描くのか。
気になったので、観てみることにしました。
チャミンボルト刺さってるのかな…



誰があれ流行らせたんだよ…


NETFLIX映画「フランケンシュタイン」
Netflix Japan公式Xより
フランケンシュタイン(原題:Frankenstein)は、2025年に公開されたアメリカのホラー映画。
メアリー・シェリーが、1818年に出版したゴシック小説「フランケンシュタイン」が原作となっている。
監督・脚本は“ギレルモ・デル・トロ”が務めている。
2025年10月に一部の劇場で公開され、11月7日にNETFLIXで独占配信されている。
STORY
医者である父親から、幼い頃より英才教育を受けていた“ヴィクター・フランケンシュタイン”。父からの虐待や母親の死によって、彼の性格は歪んでいき…やがて死そのものを克服する研究を始める。戦場から死体をかき集め、創り上げられた名もなき“怪物”。彼がこの世に誕生し何を知り何を感じたのか、そして本当の怪物とは…
監督:ギレルモ・デル・トロ
上映時間:149分



これ怖い映画?



哀しいお話だよ…
監督
ギレルモ・デル・トロ
ギレルモ・デル・トロは、メキシコ・ハリスコ州グアダラハラ出身の映画監督、映画プロデューサー、脚本家、小説家。
10代の頃から映画に興味を持ち、メキシコ国立自治大学附属映画学校に入学。
卒業後に「エクソシスト」で特殊メイクを手掛けた“ディック・スミス”の元で学び、帰国後に特殊メイク・造形の会社を立ち上げる。
10年以上特殊メイクに携わり、1992年「クロノス」で監督デビュー。
1997年「ミミック」、2002年「ブレイド2」、2004年アメコミ原作の「ヘルボーイ」がヒットし、制作会社を“ユニバーサル・スタジオ”へと移す。
2006年スペインで製作した「パンズ・ラビリンス」が、アカデミー賞外国語映画賞を含む6部門にノミネートされた。
2008年「ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー」、2013年「パシフィック・リム」
2017年「シェイプ・オブ・ウォーター」では、第74回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞、第75回ゴールデングローブ賞で監督賞、第90回アカデミー賞で作品賞と監督賞を受賞した。
2012〜2014年の「ホビット」3部作では脚本を手掛けている。
2022年「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」、2025年「フランケンシュタイン」
“押井守”を尊敬していて、「パシフィック・リム」など影響を受けている作品がある。
また、“宮崎駿”監督作品を敬愛していたり、日本の特撮・アニメ・漫画にも影響を受けている。
生成AI技術には批判的で、人間が作った芸術を愛しているとインタビューで語った。
キャスト
| 役名 | 役者名 | 説明 |
|---|---|---|
| ヴィクター・フランケンシュタイン | オスカー・アイザック クリスチャン・コンヴェリー(少年時代) | 父親からの虐待など、幼い頃の経験から性格が歪んでしまった医師の男 死を克服する研究に没頭し、驚異の肉体を持つ怪物を創り上げる |
| レオポルド・フランケンシュタイン | チャールズ・ダンス | ヴィクターの父親で、名のある外科医 家族を支配し、ヴィクターには厳しくウィリアムには甘い |
| クレール・フランケンシュタイン | ローレン・コリンズ | ヴィクターの母親で、ウィリアムを産んだ後に亡くなる |
| ウィリアム・フランケンシュタイン | フェリックス・カメラー | ヴィクターの弟で、エリザベスと婚約している 金融関係で成功し、後に兄の研究を手伝うこととなる |
| 怪物 | ジェイコブ・エロルディ | 戦場にあった複数の死体から、ヴィクターによって生み出された新たな生命体 強靭な肉体と驚くべき治癒能力を持っている |
| エリザベス・ハーランダー | ミア・ゴス | ハインリヒの姪であり、ウィリアムの婚約者の女性 |
| ハインリヒ・ハーランダー | クリストフ・ヴァルツ | エリザベスの叔父であり、元軍医で武器商人をしている資産家の男 ヴィクターの研究に興味を持ち、資金提供を申し出る |
| 盲目の老人 | デヴィッド・ブラッドリー | ハンターたちの小屋にいる盲目の老人 怪物が興味を持ち、彼から様々なことを学ぶ |
| アンデルセン船長 | ラース・ミケルセン | 北極点に向かっていたが、氷にハマり動けなくなったロシア船の船長 |


感想
観始める前は興味が薄く期待値も低かったんですが、観終わってみれば…かなり面白かったです!
創造主の好奇心により生み出された…哀しき怪物の物語。
人間と自分を知る彼の旅、純粋な彼を観ていると涙が出てきました。
欲深い人間こそモンスターなのかもしれないと…考えさせられる作品でした。
“ヴィクター視点の話”と“怪物視点の話”、2つの視点で構成されているのが良かったです。
衣装も素晴らしく、怪物のビジュアルなどかなりのこだわりを感じました。
これは、我々の知っている“フランケンシュタイン”ではない…
ビジュアル的にも物語的にもとても美しい作品でした!
ヴィクター
幼い頃より著名な外科医である父親から、英才教育を受けていたヴィクター。
家族は父親に支配され、ヴィクターは虐待も受けていた。
疑惑の残る母の死と弟ばかりを可愛がる父親、それらがヴィクターの人格を変えていった。
大人になったヴィクターは、「人の死を克服する」という“禁忌の領域”へと足を踏み込む。
新たな生命体を創造すなんて、彼は“神”になったつもりなのか。
死んだ人間を生き返らせると言えば、映画「ペット・セメタリー」を思い出します。
死んだペットや人が生き返るんですが、凶暴になって生き返ってくる。
この作品でも凄まじいパワーと治癒能力が付与されていますが、それはヴィクターも計算外だったんでしょう。
実験は成功したが、“ヴィクター”以外の言葉を喋らないので失敗と決めつける。
自らが与えた生命なのに、ヴィクターにはまるで愛情がない。
愛情も責任もない…クソ野郎です。
子供の頃に嫌っていた父親のような男、いや…それ以下の人間になってしまったヴィクター。
弟の結婚式に出席した頃には、救いようがないクズに成り下がっていた。
そして、ウィリアムに言われた一言…「怪物は兄さんだ」
怪物
ヴィクターによって創造された名もなき怪物。
全身のパーツが、戦場の死体の寄せ集めであり繋ぎ合わせたもの。
彼は、人間を遥かに超えるパワーと驚異的な治癒能力を持っている。
赤子のように言葉は話せず、発するのは“ヴィクター”のみ。
見た目は怖いが、心は純粋な感じが見てとれる。
ヴィクターに見捨てられ処分されそうになるが、なんとか脱出し外の世界へ。
人に見つかれば撃たれてしまうが、ある老人との出会いが彼に大きな学びを与える。
この盲目の老人とのシーンが素晴らしかった。
盲目のため見た目で判断せず、心の目と感覚で人を判断する。
「人は見た目が9割」なんて本があるが、全てが見た通りではない。
彼は見た目は奇妙で力も人間より遥かに強いが、心は赤子のように純粋です。
だから、臆病である鹿も逃げないし…ネズミたちは彼から離れない。
「人間の方が残酷で恐ろしいじゃないか」と考えさせられる。
彼は自己防衛のための戦いはするが、自ら人や動物を傷つけることはない。
“自分がどうやって創られたか”を知って落ち込む彼の気持ち、ヴィクターを恨む気持ちがよくわかりました。
彼の「孤独」と彼の「願望」に共感し、涙を流した人も多いのではないでしょうか。
“死にたくても死ねないし同種もいない”、そんな彼は今後どうやって生きていくのか…
エリザベス
ハーランダーの姪で、ウィリアムの婚約者でもあるエリザベス。
彼女も…両親の愛情を受けて育ったとは思えないような気がする。
婚約者のウィリアムといても幸せそうではないし、そこか孤独感がある感じです。
そんな彼女は、初めて怪物に出会った時から何かを感じていた。
ウィリアムも優しくていい奴だと思うんですけどね…
ウィリアムは金融の世界で成功しているし、もしかしたら叔父に強く薦められて結婚することになったのかもしれません。
彼女は怪物に「この世界に私の居場所はなかった」と言います。
何を求めているのかもわからなかった彼女が求めていたものは、怪物が持つ“純粋な心”だったのかもしれません。
エリザベスの鮮やかな緑の衣装が良かったです。
ウィリアム
ヴィクターの弟で、金融の世界で成功しているウィリアム。
生まれたと同時に母を失い、ヴィクターとの思い出もなさそう。
子供の頃から仲も良さそうじゃないし離れて暮らしていたのに、どうしてヴィクターの研究を援助しようと思ったのでしょうか。
尊敬しているような感じだし、たった1人の肉親だからですかね。
ウィリアムは真面目で性格も良さそうですが、かなり可哀想な奴な気がします。
母親の愛も知らず育ち、兄貴はクソ野郎、婚約者に愛はなく、怪物に殺されてしまう…。
最悪じゃないですか?!笑
最後の言葉は…「怪物は兄さんだ」ですからね。
気になった点
非常に切なくて衣装やビジュアルも素晴らしかった作品ですが、2点ほど気になったところがあります。
1つ目は、船を揺らすシーンです。
いくら人並外れたパワーがあると言っても、あのデカい船を揺らしたり動かしたりするのは…ちょっと無理がある気がしました。
“ハルク”ならわかりますが、少しやり過ぎ感を感じてしまいました。
2つ目は、ダイナマイトのシーンです。
ダイナマイトなら木っ端微塵でしょうが…原型は残りませんよ。
ターミネーターの“T-1000”のように、液体になれるならダイナマイトでも死なないと思いますが。
治癒能力が凄いだけで、ベースは人間ですからね。
人間こそ怪物
人間の欲望は底なしで、残酷な生き物です。
私利私欲のために、平気で人や動物を殺す者がいる。
生まれた時はみんな純粋なのに、人は環境に大きく左右されてしまう。
“死んだ者に生命を与える”ということは、人がするべき行為ではないと思います。
しかし、今も世界のどこかで…そんな研究が行われているのではないでしょうか。
人は誰でも怪物になる可能性があり、それを抑制するために理性がある。
理性をなくせば、見た目は人間でも怪物と変わらない。
ヴィクターは、自分が創り出した生命体を奴隷や物のように扱った。
命あるものを「失敗作だ」と言い放ち、処分しようとした最低野郎。
弟に「あなたはモンスターだ」と言われても仕方がないですね。
評価
Rotten Tomatoesでは2025年11月13日現在、トマトメーター(批評家)86% ポップコーンメーター(観客)95%
metacriticでは、メタスコア(批評家)78/100 ユーザースコア(観客)7.5/10
IMDbでは、IMDbレーティング7.6/10 ユーザー評価7.8/10
どのサイトでも高い評価を得ています。
“ストーリーや演技、美術的にも素晴らしい”という意見が結構ありました。
149分という長さの映画ですが、それを感じさせない素晴らしい作品でした。


まとめ
2025年11月7日から、NETFLIXで独占配信されている映画「フランケンシュタイン」
監督は、「パシフィック・リム」や「シェイプ・オブ・ウォーター」を手がけた“ギレルモ・デル・トロ”です。
今まで多くの「フランケンシュタイン」作品が製作されていますが、ギレルモの作る“フランケンシュタイン”はひと味違います。
ヴィクターの“禁忌の研究”によって創り出された怪物、彼が辿る哀しき運命とは…。
物語と役者の演技、音楽、衣装、美術など、全てが素晴らしく美しい作品です。
怪物に共感し、人間とは何か考え、思わず泣いてしまう人もいるでしょう。
ぜひ、視聴してみてください!



最後まで読んでいただきありがとうございます



愚か者が理想を追い求めるからよ







