2025年3月13日より世界に配信された、NETFLIX シリーズ「アドレセンス」
なんか海外で話題になっているみたい。
1つ前に書いた記事「ランニング・ポイント」と同様に、海外では話題だけど日本ではそうでもない作品。
少年犯罪?っぽい話みたいだけど、とりあえず観てみることにしました。

アドレセンス?



“思春期”って意味だよ


NETFLIX シリーズ「アドレセンス」
NETFLIX公式Xより
アドレセンス(原題:ADOLESCENCE)は、2025年に公開されたイギリスの犯罪ドラマ・ミニシリーズ。
全4話で各エピソード51〜65分、編集なしのワンカット撮影で製作されている。
STORY
イギリスのある町で、警察が民家に突入し13歳の少年“ジェイミー・ミラー”を逮捕した。クラスメイトの“ケイティ・レナード”殺害容疑という理由だった。彼は本当にケイティを殺害したのか?動機は何だったのか?突然の出来事に戸惑う家族、やがてジェイミーの心の闇が明らかとなっていく…。
監督:フィリップ・バランティーニ
視聴時間:51〜65分



なんか重そう…



間違いない…
キャスト
役名 | 役者名 | 説明 |
---|---|---|
ジェイミー・ミラー | オーウェン・クーパー | “ケイティ・レナード”殺害容疑で逮捕された13歳の少年 |
エディ・ミラー | スティーブン・グラハム | ジェイミーの父親 |
マンダ・ミラー | クリスティン・トレマルコ | ジェイミーの母親 |
リサ・ミラー | アメリー・ピーズ | ジェイミーの姉 |
ルーク・バスコム | アシュリー・ウォルターズ | イギリス警察の警部で、ジェイミーの事件を担当している |
ミシャ・フランク | フェイ・マーセイ | イギリス警察の巡査部長で、バスコムの相棒 |
ポール・バーロウ | マーク・スタンリー | 警察から依頼を受けたジェイミー担当の弁護士 |
ブリオニー・アリストン | エリン・ドハティ | ジェイミー担当の心理療法士 |
ライアン・コワルスカ | ケイン・デイヴィス | ジェイミーの友達 |
フェヌモア | ジョー・ハートリー | 小学部の先生で、バスコムたちに学校を案内する |


感想
このドラマは、面白いと言うよりは…非常に考えさせられる作品でした。
ワンテイク撮影に感心しつつも、物語の展開に没入してしまう。
本当に彼がやったのか?彼はどんな人物なのか?
真相が気になって、あっという間に最後まで観てしまいました。
ワンカット撮影というのが凄過ぎる…役者さんはめちゃくちゃ大変だったと思われます。
とんでもないことにチャレンジした作品ですね。
カットが変わらず淡々と進むため、苦手な人もいることでしょう。
そういう意味では、誰もがいいと思うドラマではないかもしれない。
しかし、子を持つ親なら誰もが…考えさせられる作品だと思います。
ジェイミー
ドラマが始まって直ぐ、突入してきた警察に逮捕されてしまうジェイミー。
大人しそうな13歳の少年は、誰が見ても殺人事件の容疑者には見えない。
警察が突入する家を間違えたのか、冤罪の話じゃないかと推理してしまう。
しかし、そうでないことは…1話の時点でわかり驚愕する。
警察がドアを壊して突入するということは、それなりの確固たる証拠があるからだろう。
ここで視聴者は、彼の父親と同じく「まさか…なんで?信じられない…」という感情になる。
それでもまだ“フェイク”という可能性も捨てきれない。
「やってない」って何回も言ってたじゃん!
そして、ジェイミーは収容訓練施設に入り…彼がどんな人物なのかが明らかにされていく。
ジェイミーを演じた“オーウェン・クーパー”は、この作品がデビュー作です…信じられません。
素人が膨大なセリフを暗記し、ワンテイクでこんな演技が出来るものだろうか?!
500人ほどの少年たちから選ぶ予定だったが、クーパーから送られてきた“デモテープ”がキャスティング・ディレクターの目を引きました。
とても素人とは思えない彼の演技、ぜひ作品を観て確認してください。
特にエピソード3が凄過ぎます!
この作品で注目を集めた彼が、今後どんな役を演じていくのかが楽しみです。
エディ
この作品の主演は、少年ジェイミーではなく父親のエディです。
自分はいい父親で、息子たちも良い子に育っていると思っている。
最初は優しくて“いいお父さん”という感じでしたが、次第に彼の本性が見えてきます。
なぜ息子が逮捕されるのか?息子が殺人なんてするわけがない…エディは状況が全く理解できません。
警察署に来たこともないし、容疑者となった息子にどう接すればいいかもわからない。
そして、衝撃の事実を知り…自分が息子のことを何もわかっていなかったことを知る。
ジェイミーが容疑者となったことで、車にスプレーで落書きされるという嫌がらせを受ける。
そこからエディの本性が…彼の短気な性格が見えてきます。
観ているこっちも彼の行動を見て…つい眉間にシワが寄ってしまう。
奥さんや娘の気持ちを考えると、痛々しく感じてしまいます。
子供たちも立派に育てた“いい父親”と思っていたのに、そうでなかったことを思い知り打ちひしがれる。
最終話の最後のシーンは、とても素晴らしいので必見です!
バスコム
イギリス警察の警部で、少女殺害事件の担当であるバスコム。
逮捕した13歳の少年ジェイミーに対して、できる限り優しく丁寧に接します。
家族に対しても丁寧に状況説明し、とても好感が持てる人物です。
学校で生徒に生意気な態度を取られても…決して怒らず冷静に対処する。
そんな彼だが、息子とはコミュニケーションが取れていない様子。
息子が学校でいじめられていることも知らないし、息子も父親には相談できていない…というかしたくない感じ。
非の打ち所がないようなバスコムだが、彼もまたエディと同じように息子のことを何も知らない。
きっと、自分は父親として何の問題もないと思っているのだろう。
アリストン
心理療法士として、収容訓練施設にいるジェイミーを訪れたアリストン。
様々な質問から、彼が一体どんな人物なのかを割り出していきます。
このエピソード3がめっちゃ凄いんですが、なかなかしんどくて難しい回なんです。
まさか、このシーンだけで終わりとか?!と思っていたら…本当に終わった。笑
これをワンテイクでやった2人は凄いですね!
無駄話のようでそうでない会話が凄い…綿密に計算された脚本。
彼がどんなことが好きで、どんな過去があって、どんなことに苛立ち、男や女に対してどう考えているか?
少しずつ読み解いていく…。
アリストンは興奮するジェイミーに対し、感情を押し殺して冷静に対応する。
この回はジェイミーにイライラしたり、アリストンの質問にイラついたり…観ている方も疲れてしまいます。
しかし、後から考えるとやっぱり凄い回なんです!



このエピソード凄過ぎた



ドキュメンタリーだね
ワンテイク撮影
この作品は、1台のカメラで長回しで撮影する“ワンテイク撮影”で撮られています。
複数回のリハーサルとテクニカルリハーサルを積み重ねて、撮影監督がカメラの動きを綿密に計画しました。
各エピソードは、1日2テイクで約10回ぐらい撮影されました。
エピソード1は2テイク目が採用され、エピソード2は13テイク目、エピソード3は11テイク目、エピソード4は16テイク目が採用されたようです。
エピソード3を11テイクとか…役者はたまったもんじゃありませんね。
カメラマンが役者について行って撮影しているのはわかるんですが、ある時は急に浮いていってドローン映像になったりする。
またある時は、車の前に来たかと思ったら…そのままボンネットに固定され車が動き出す。
すれ違った役者にカメラが付いていき、ドローンや車に切り替わるのも非常にスムーズです。
どうやって撮影してるの??と感心してしまう。
こんな作品は、今まで観たことがありませんでした。


インセル
このドラマでは、日本では聞き慣れない“インセル”という言葉が出てきます。
インセル(incel)とは、自らを“異性との交際が長期間なく、結婚を諦めた結果としての独身”を定義とするインターネットカルチャーのひとつ。
女性蔑視を行うインターネットコミュニティのメンバー(主に白人男性、異性愛者)で、「involuntary」(不本意)と「celibate」(禁欲)の2つの単語を合わせた言葉、彼らの間では“インセルダム”(inceldom)と言われている。
主にアメリカやカナダの若い白人男性の間で使用される用語で、ネット上で女性嫌悪や人間不信、自己嫌悪、女性や性的強者に対する暴力の肯定などが論点となっている。
彼らの多くは、“自分たちは遺伝子のくじ引きの負け組であり、為す術がない”という考えを持っている。
インセルのコミュニティでは、性的魅力のある男性たちのことを“チャド”(Chad)と呼び、チャドばかりを選ぶ性的魅力のある女性たちのことを“ステイシー”(Stacy)と呼んで敵視している。
インセルだと自称または推定される人物が起こした“無差別殺傷事件”は、北米では少なくとも11件は起きている。
例えば、2014年5月23日に起きた「アイラビスタ銃乱射事件」や、2018年2月14日に起きた「マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校銃乱射事件」などがある。
「アイラビスタ銃乱射事件」の犯人である“エリオット・ロジャー”は、インセルを自認し女性たちへの復讐を謳う文章をネットに書き込んでいた。
この事件以降、インセルのコミュニティでロジャーは“英雄視”されるようになった。
動機(ネタバレ)
なぜ、ジェイミーは事件を起こしたのか?
彼は、ケイティたちクラスメイトに“インセル”だとイジメられていた。
彼自身も自らを「ブサイク」だと認め、自分に自信を持っていなかった。
ある時、ケイティの“上半身裸の写真”が流出し…彼女は笑い者にされる。
ジェイミーは、“落ち込んでいる今なら彼女を落とせる”と考えた。
そして、告白を決意し彼女を誘い出した。
弱っていると思われた彼女を遊園地に誘ったが、彼女に「そこまで落ちぶれていないわ」と言われ…突き倒されるジェイミー。
逆上した彼は、彼女を追いかけナイフで何度も刺して殺害してしまった。
ナイフを持っていたということは、ある程度の計画性があったということだろう。
ドラマが伝えたいこと
このドラマは、イギリスで実際に起こった少年による凶悪な“ナイフ犯罪”から考案されている。
「アドレセンス」は、“少年による少女への極端な暴力行為の動機を探る”ドラマです。
犯罪を起こすのは、貧しい家庭で育った子や片親の子だとは決まっていない。
ごく一般的な家庭で育った少年でも、殺人事件を起こす可能性は十分にあるということです。
父親のエディは、自分はいい父親で子供たちも立派に育っていると思っていた。
息子のことはよくわかっていると思っていたが、まるでわかっていなかったことを思い知らされる。
自分たちは何が間違っていたのか?なぜもっと早く気づかなかったんだ?と…最後にうなだれるのである。
もっとコミュニケーションを取っていれば良かったのか…親なら誰しも考えさせられてしまうでしょう。
そういう意味でも、子を持つ親には観てもらいたい作品ではあります。
評価
Rotten Tomatoesでは2025年3月22日現在、トマトメーター(批評家)99% ポップコーンメーター(観客)72%
metacriticでは、メアスコア(批評家)90/100の“MUST-WATCH” ユーザースコア(観客)6.4/10
IMDbでは、IMDbレーティング8.4/10 ユーザー評価8.3/10
特に批評家から、非常に高い評価を獲得しています。
驚異の“ワンテイク撮影”と役者たちの演技が、この評価に大きく影響を与えたと考えられます。
一度観た後に改めて観ると、このドラマの凄さを再確認することが出来ます。


まとめ
2025年3月13日より、NETFLIXで配信されたドラマ・ミニシリーズ「アドレセンス」
全4話で、各エピソード60分程度という構成となっている。
“ワンテイク撮影”(長回し)で撮られ、役者たちはカットなしで演技をしています。
ある朝、警察がドアを破り家に突入してきて、13歳の少年ジェイミーが少女殺害容疑で逮捕された。
彼は、本当にクラスメイトの少女を殺害したのか?もし事実だとしたら一体なぜ?
凶悪な少年犯罪の動機を探っていくドラマです。
子を持つ親なら誰もが考えさせられる…子供の育て方を見直すことを考えてしまう作品。
ワンテイク撮影なので、展開に飽きてしまう人もいるかもしれません。
しかし、この計算し尽くされた“カメラワーク”と…役者たちの“素晴らしい演技”を観てもらいたい。
最後は非常に…切ない…
ぜひ、視聴してみてください!!



最後まで読んでいただきありがとうございます



パパの力不足だった…