2025年10月31日から公開されている映画「爆弾」
映画館やテレビの予告などで、気になっている方も多いのではないでしょうか。
坊主頭に髭面の“佐藤二朗”が、不気味に笑う映像です。
彼が犯人なのか…ただのイカれた男なのか…。
どうやら…「この作品は面白い」という声も聞いたので、観に行くことに決めました。
チャミンどんな映画かな…



原作の小説は読んだことない…


映画「爆弾」
映画「爆弾」公式Xより
爆弾(ばくだん)は、2025年10月31日に公開された日本の映画。
原作は、2022年に刊行された“呉勝浩”の長編推理小説「爆弾」である。
「このミステリーがすごい!2023年版」と「ミステリが読みたい!2023年版」の第1位を獲得。
ミステリーランキング2冠を達成したベストセラー小説の映画化。
STORY
酒に酔い自販機を破壊、店員にも暴行し警察に連行された正体不明の中年男。自らを“スズキタゴサク”と名乗るこの男は、霊感が働くと言い都内に仕掛けられた爆弾の存在をほのめかす。やがて彼の言った通りに爆弾が爆発し、その後も1時間おきに爆発が続くと語る。スズキは爆弾に関する“謎解きクイズ”を出しながら、事情聴取をする刑事たちを翻弄していく…。
監督:永井聡
上映時間:137分



ニャニャニャニャ…



腹立つわ〜
キャスト
| 役者名 | 役名 | 説明 |
|---|---|---|
| 山田裕貴 | 類家 | 警視庁捜査一課の強行犯捜査係の刑事 もじゃもじゃ頭の変わった風貌だが、優れた推理力を持つ |
| 佐藤二朗 | スズキタゴサク | 酔っ払って自販機を破壊し、店員にも暴力を振い連行された謎の中年男 「霊感で役に立てる」と刑事に話し、都内に仕掛けられた爆弾の存在をほのめかす |
| 伊藤紗莉 | 倖田紗良 | 沼袋交番勤務の巡査の女性で、先輩の矢吹と行動を共にしている 猪突猛進な行動派で、爆弾を探し都内を捜索する |
| 染谷将太 | 等々力功 | 野方署の所轄刑事で、最初にスズキタゴサクの事情聴取をする 捜査一課と交代となったが、鋭い推理で独自に調査を進める |
| 坂東龍汰 | 矢吹泰斗 | 沼袋交番勤務の巡査長で、伊勢をライバル視している 刑事になるチャンスだと思い、手柄を取ろうと爆弾の捜索をする |
| 寛一郎 | 伊勢勇気 | 野方署の巡査長で、取調室で記録係と見張り役を務める |
| 渡部篤郎 | 清宮輝次 | 警視庁捜査一課の強行犯捜査係の刑事で、類家の先輩でもある 等々力に代わりスズキタゴサクの事情聴取をする |
| 加藤雅也 | 長谷部有孔 | 野方署の元刑事だったが、不祥事を起こし… |
| 夏川結衣 | 石川明日香 | 長谷部の元妻 |
| 正名僕蔵 | 鶴久 | 野方署の刑事課長で、イライラすると部下たちを怒鳴りつける |
| 中田青渚 | 石川美海 | 長谷部の娘 |
| 片岡千之助 | 石川辰馬 | 長谷部の長男 |
相関図
映画「爆弾」公式パンフレットより
主題歌
主題歌は“宮本浩次”の「I AM HERO」
映画館でエンドロールで初めて聴きましたが、めちゃくちゃ良かったです。
ほぼ全員が席を立たず、この曲を最後まで聴いていました。


感想
非常に面白い映画でした!
最後まで、正体不明の中年男“スズキタゴサク”に振り回される。
タゴサクの一語一語を逃したくない取調室、都内のどこで爆弾が爆発するかわからない街。
とても緊張感があり、食い入るように観てしまいました。
人の心理をえぐるようなタゴサクの言葉、偏った考えだと思いながらも共感できる部分もある。
タゴサクと対峙すれば、誰もが見透かされてしまうような気がした。
ほとんどが“取調室”でのシーンなのに、こんなに面白くなるとは…。
謎解きの展開が早いので、答え合わせする時間もなく進んでいきます。
どうせ考えても答えは出てこないと思うんですけどね。笑
とにかく、佐藤二朗のハマり役「スズキタゴサク」に圧倒されました。
スズキタゴサク
住所不明、過去の経歴も不明、名前も本当かわからない謎の男…スズキタゴサク。
酔っ払いの暴行事件で捕まり、野方署の取調室で事情聴取を受けている。
器物破損と暴行事件の容疑なので、さっさと供述すれば帰れるという状況。
彼は、「霊感で刑事さんたちの役に立てる」と言い出す。
そして、都内各地に仕掛けられた爆弾の爆発を予告する。
ここから“佐藤二朗”の圧倒的なセリフ量の芝居が始まリます。
映画を観ながら、よくこの長台詞を覚えたな…って感心してしまいました。
どうやら、最初のリハから既に台詞が全て頭に入っていたようです。
タゴサクは誰が死んでも構わないし、自分が刑務所に入るかもしれないという恐怖もない。
なぜホームレスになったのかわからないが、人間観察力にはかなり優れている。
ホームレスで暇だから、道行く人を観察していたのでしょうか。
誰でも自分と同じような考えを持っている…人の心理を突いてきます。
こいつ本当はめちゃくちゃ頭の回転が速いんじゃないか!?
どんだけ計算して話してんだよ!!
タゴサクも演じた“佐藤二朗”も凄過ぎました。
九つの尻尾ゲーム
タゴサクは、突如「九つの尻尾ゲーム」というのをやりだす。
彼のオリジナルのゲームで、都内に仕掛けられた爆弾の場所のヒントが隠されている。
清宮を相手に始めるんですが、これを読み解くのは難しい。
清宮は一般的な思考で考えるが解読できず、切れ者の類家があっさりと解いてしまう。
場所はわかっても、爆弾がどこにあるか見つけなければならない。
このゲームはよくわからないが、清宮を確実に追い詰めていく。
タゴサクの挑発に乗り怒りをあらわにすれば…清宮の負けですが、タゴサクの言い方が腹立たしいんですよね。笑
清宮が怒るのは、ごく自然な反応だと思いました。
「これが、あなたの心のカタチです」は、なかなか衝撃的でしたね。
類家
刑事に似つかわしくない風貌の類家。
類家は、清宮と対峙するタゴサクをじっと観察している。
タゴサクの謎解きクイズを脇で聞きながら、あっという間に解いてしまう。
そして、清宮と代わりタゴサクと対峙することになる。
この対決が面白い!
類家とタゴサクは似たもの同士で、類家は一歩間違えば…タゴサクになりかねない思考の持ち主。
タゴサクも会話しながらそれを察知している。
タガが外れ爆発してしまったタゴサクと、思ってもリミッターは解除しない類家。
類家も社会や警察組織に不満を抱えているが、それを壊そうとはせず理性を保っている。
しかし、いつそれが爆発してもおかしくない。
最後の爆弾は類家の心に仕掛けられたのかもしれない…。
清宮
警視庁捜査一課のベテラン刑事である清宮。
これまで、多くの犯罪者たちの取調べをしてきたのだろうか。
手慣れた感じで、タゴサクの取調べを始めます。
しかし、こいつは普通じゃない…今までの犯罪者とはまるで違うと思ったのだろう。
いかにも正義感が強く真面目そうな清宮は、タゴサクからすれば容易い相手なのかもしれない。
余計な話をしたり焦らしたり、清宮をイラつかせるタゴサク。
清宮はポーカーフェイスでイラつきを隠すが、次々と爆発が起こり時間が経つにつれ隠せなくなっていく。
だんだん壊れていく様が、非常にわかりやすく描かれていました。
タゴサクに命の価値とその平等さを問われ、早とちりをして…。
それにしても…意外とあっさり類家にバトンタッチするんですね。笑
爆弾
この記事のひとつ前に書いたのが、NETFLIX映画「ハウス・オブ・ダイナマイト」です。
あの映画では、「地球上には1万発以上の核爆弾があり、我々はダイナマイトの家に住んでいるようなもの」だと表現しています。
この作品でも実際の爆弾の脅威はあるんですが、「人は誰しも心に爆弾を抱えている」ということも描いている。
学校や社会、会社や組織への不満など、誰もが悩んだり憤りを感じたことはあるでしょう。
その感情がいつ爆発するかわからないし、しない可能性は否定できない。
この社会の誰もが“スズキタゴサク”になりかねない…ということ。
人の理性のリミッターが外れてしまうのは、一体どういう時なのでしょうか。
犯罪心理学者なんかは、多くの犯罪者にインタビューして知っているんですかね。
その辺の“犯罪心理”には少し興味があります。
等々力
野方署の所轄刑事である等々力。
彼が、スズキタゴサクを最初に取調べした刑事です。
なかなか勘のいい男で、鋭い推理力も持っている。
故に、タゴサクに気に入られ類家も一目置いている。
警視庁捜査一課が来て清宮と交代となってしまったが、もっと「等々力vs.タゴサク」を見たかったという人もいるのではないでしょうか。
事情聴取は外されたが、個別に事件を追い重要なことに気づく。
等々力は長谷部を尊敬していたがために、マスコミに「気持ちはわかります」と言ってしまった。
優秀な刑事なはずですが、あの発言のせいで出世の道が絶たれてしまったのか。
こういう男こそ出世していくべきなのに、組織ではなかなかそうはいかないことが多い。
そして、また誰かが心に爆弾を抱えてしまうのかもしれない。
長谷部
野方署の刑事だった長谷部は、恥ずかしい不祥事を起こしてしまった。
等々力が尊敬するくらいだから、おそらく優秀な刑事だったのだろう。
映画館で、長谷部のシーンで笑っている人もいた。
確かに「どんな癖だよ」とは思ったが、世の中いろんな人がいるもんだ…。
ていうか、守秘義務を守らないカウンセラーが酷いですよね!?
もちろんその人はクビになって、もう二度とカウンセラーの仕事が出来なくなっているんですよね…なんて考えてしまう。
それにしても長谷部は、何で○殺に電車を選んだんだ…。
伊勢
取調室で事情聴取の記録を取り、見張り役も務める伊勢。
感情をストレートに出す伊勢のような人間は、簡単にタゴサクに喰われてしまう。
タゴサクの術中にハマり、それが悲劇を生んでしまう。
矢吹から手柄を奪った挙句、そんなことになってしまうなんて…ヤバ過ぎだろ。
「あなた誰ですか?」は強烈だった!
矢吹と倖田
仲の良い先輩と後輩といった感じで、緊張感が解ける矢吹と倖田のシーン。
矢吹は手柄を挙げて刑事になりたいと思っていて、それをサポートする倖田。
爆弾があるとされる現場で活躍していたが、手柄が欲しいあまり先走り過ぎてしまう。
爆発するんだろうな〜とわかっていたのに、映画館でビクッとしてしまいました。笑
シェアハウスのシーンですが、倖田が来たとしても…あれ踏んで動かなければ良かったんじゃ?!
逆上した倖田が取調室に入ってくるが、怒りをあらわにすればするほど…タゴサクの術中にハマっていく。
彼らには、今後も変わらぬ関係でいて欲しいですね。
続編
「爆弾」の続編となる小説「法廷占拠 爆弾2」が、2024年7月31日に講談社より刊行されています。
STORY
連続爆破事件から1年後、スズキタゴサクの裁判の最中に…遺族席から拳銃を持った青年が立ち上がり法廷を占拠した。100人が人質となった法廷で、何やら青年はゲームを始めるようだ。全国の人々が生配信を見守る中、警察は100人を救い出せるのか…。籠城犯vs.警察vs.スズキタゴサクの三つ巴の騙し合いが始まる!
この続編もぜひ映画化して欲しいですね!
評価
IMDbでは2025年11月7日現在、IMDbレーティング7.4/10 ユーザー評価7.3/10
日本の映画.comでは、4.0/5.0、Filmarksでは、4.2/5.0
Yahoo!では、4.3/5.0、Googleでは、4.6/5.0
どのサイトでもかなり高い評価を得ています。
ほとんど取調室での会話なのに、これほど飽きさせないのは凄いです。
「爆弾はどこにあるのか」と「スズキタゴサクとは何者なのか」が、知りたくて知りたくて堪らなくなります。


まとめ
2025年10月31日より、劇場公開されている映画「爆弾」
予告編からして非常に気になる映画ですが、とても面白くて話題になっています。
正体不明の中年男“スズキタゴサク”が、取調室から警察と東京都内の人々を翻弄する。
爆弾はどこにあるのか…ゲームをしながらヒントを出すタゴサクは、人間の心理をえぐってくる。
「人は誰しも心に爆弾を抱えている」…善と悪、命の価値、平等と不平等、いろんな方面から攻撃してきます。
気を許せば、タゴサクに共感してしまいそうになる。
非常に考えさせられる作品でした。
スズキタゴサク演じる“佐藤二朗”の演技が素晴らしく圧倒されてしまう。
“山田裕貴”や“渡部篤郎”、“染谷将太”など、他のキャストもよく観てもらいたい。
ぜひ、劇場に足を運んでこの映画を鑑賞してみてください!!



最後まで読んでいただきありがとうございます



クソがっ…









