ずっと観ようと思っていて、まだ観ていない映画ってけっこうありますよね。
私の場合、そんな映画のひとつが「シャッターアイランド」です。
巨匠マーティン・スコセッシとレオナルド・ディカプリオのタッグ4作目となる作品。
2010年公開の映画ですが、ついに観ることになりました。
どんな映画かなー
スコセッシ初のミステリー作品だよ
映画「シャッターアイランド」
www.amazon.co.jp & FRONTROWより
シャッターアイランド(原題:Shutter Island)は、2010年公開のアメリカのミステリー映画。
デニス・ルヘインの同名小説をマーティン・スコセッシ監督が映像化した作品。
STORY
1954年、連邦捜査官の“テディ・ダニエルズ”は“チャック・オール”と共に、周りを海に囲まれた孤島(シャッターアイランド)にある犯罪者用の「アッシュクリフ精神病院」を訪れた。失踪した女性患者の謎を追うためだったが、テディにはもうひとつ別の目的があった。謎が多過ぎる不可解な島の調査を進めるうちに、テディは衝撃の事実にたどり着く…。
監督:マーティン・スコセッシ
上映時間:138分
アルカトラズみたいな島
この島から出ることは出来ない…だって
監督
マーティン・スコセッシ
マーティン・チャールズ・スコセッシは、ニューヨーク州ニューヨーク出身の映画監督、脚本家、映画プロデューサー、映画俳優。
イタリア(シチリア)移民2世の両親の次男として、ニューヨークで生まれリトル・イタリーで育つ。
ニューヨーク大学の映画部で学び、1969年「ドアをノックするのは誰?」で監督デビュー。
1973年「ミーン・ストリート」が映画批評家から大絶賛を受け、ここからロバート・デ・ニーロとのタッグが始まる。
1976年デ・ニーロが主演した「タクシードライバー」がカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞。その後も「レイジング・ブル」「グッドフェローズ」など、デ・ニーロとのタッグで高い評価を得る。
2002年「ギャング・オブ・ニューヨーク」でレオナルド・ディカプリオと初のタッグを組む。
2004年「アビエイター」2006年「ディパーテッド」でも続けてディカプリオと組み、自身初のアカデミー作品賞とアカデミー監督賞を受賞した。
その後も「ウルフ・オブ・ウォールストリート」や「アイリッシュマン」などを監督し成功を収めている。
今や誰もが認める“巨匠”と言われる映画監督。
スコセッシといえば“マフィア映画”や“ギャング映画”といったイメージです。
暴力的な描写が多く、腐敗し矛盾した現実の中での人間の心理や苦悩を描く作品が多い。
この作品は、スコセッシ初の“ミステリー映画”です。
主演
レオナルド・ディカプリオ(テディ・ダニエルズ役)
レオナルド・ウィルヘルム・ディカプリオは、カリフォルニア州ロサンゼルス出身の俳優、脚本家、映画プロデューサー、環境活動家。
10代でCMやテレビドラマに出るようになり、1993年ジョニー・デップ主演の「ギルバート・グレイプ」で19歳の若さでアカデミー助演男優賞にノミネートされる。
その後も、1995年「バスケットボール・ダイアリーズ」1996年「ロミオ+ジュリエット」と出演を重ね、1997年ジェームズ・キャメロン監督の「タイタニック」で一躍スターとなる。
2002年マーティン・スコセッシ監督の「ギャング・オブ・ニューヨーク」に主演し高い評価を得る。
2004年、初めてプロデュースした「アビエイター」で再びスコセッシと組み、ゴールデングローブ賞ドラマ部門主演男優賞を受賞。
それ以降も「ディパーテッド」「ブラッド・ダイヤモンド」「インセプション」などで主演し、2013年「ウルフオブウォールストリート」で再度スコセッシとタッグを組みゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞。
また、映画人の他に環境活動家の一面を持っている。プリウスなどのハイブリッドカーを所有したり、代替肉やヴィーガン食品のハンバーガー開発会社などに投資している。
男臭い役を演じ続けてきて、すっかり「王子様キャラ」が抜けたディカプリオ。
今ではすっかり“名優”とも言われるようになりました。
この作品でも見事な演技を披露しています。
登場人物
役名 | 役者名 | 説明 |
---|---|---|
エドワード・“テディ”・ダニエルズ | レオナルド・ディカプリオ | エドワード・ダニエルズと名乗る連邦保安官だが… 失踪した女性患者の捜査に来たが、実は別の目的があった |
チャック・オール | マーク・ラファロ | テディの相棒の連邦保安官だが、実際は… |
ジョン・コーリー医師 | ベン・キングズレー | アッシュクリフ精神病院の院長 |
ドロレス・シャナル | ミシェル・ウィリアムズ | テディの妻で3人の子の母親なのだが… |
レイチェル・ソランドー | エミリー・モーティマー | 病院から脱走し行方不明になった女性患者とされているが… |
ジェレマイアー・ナーリング医師 | マックス・フォン・シドー | アッシュクリフ精神病院の精神科医の先生 |
ジョージ・ノイス | ジャッキー・アール・ヘイリー | 殺人で刑務所に収監されている元患者とされているが… アッシュクリフ精神病院で「人体実験」が行われていると主張する |
アンドリュー・レディス | イライアス・コティーズ | テディの家を放火し妻を殺害したとされる男だが… |
エセル・バートン | パトリシア・クラークソン | 崖の洞窟にいる真実を知る謎の元精神科医とされる女性… |
警備隊長 | テッド・レヴィン | アッシュクリフ精神病院の警備隊長 |
マクフィアソン副警備隊長 | ジョン・キャロル・リンチ | アッシュクリフ精神病院の警備副隊長 |
感想
映画を観ていると所々で「どういうこと?」と思うシーンが出てきます。
妄想なのか夢なのか…または現実なのか、そして終盤に起こる大どんでん返し!
そこからの伏線回収が大変になります…というか、拾い切れません。
そして、もう一度見返すと“非常によく出来ている”ことに気づく。
ひとりでは拾い切れない「難解ミステリー」です。
ディカプリオの名演技によって、この映画は複雑だがとても面白くなっています。
テディ・ダニエルズ
失踪した女性患者を調査するために、テディは相棒のチャックと孤島にある「アッシュクリフ精神病院」を訪れました。
厳しい警戒の中で、異様な雰囲気の閉ざされた島“シャッターアイランド”で調査を進めるテディ。
しかし、テディには妻を殺した犯人“レディス”を見つける…というもうひとつの目的がありました。
テディはときどき幻覚を見たり、急に目眩がしたり、戦争の時の体験を思い出したりします。
観ていると、だんだん“現実なのか幻覚なのか”見分けがつかなくなって混乱する。
コップが消えたり灯台が移動していたり…訳が分かりません。
周りの人間もよくわからないことを言っていたり、変なところで笑っている…
しかし…それらは全て伏線で、最後に大どんでん返しが来るのです!
びっくりしたよねー
伏線回収が間に合いません…
レイチェル・ソランドー
アッシュクリフ精神病院から忽然と姿を消し、消息不明となった女性患者レイチェル。
しかし、どう考えても外に出るのは不可能な状況。
彼女は自宅の裏の湖で、自分の3人の子供たちを溺死させました。
レイチェルの部屋に隠されていたメモには「4の法則 67は誰?」と書かれていた。
島中を探してもいなかった彼女が、あるとき突然に病院へと戻ってきます。
裸足なのに全く傷もなく、テディのことを“ジム”と呼び訳のわからないことを言う。
観ているこっちは、当然ながら混乱します。
ドロレス・シャナル
たまに幻覚として現れる“金髪の女性”ドロレス。
彼女はびしょびしょに濡れていたり、お腹から血を流したりしています。
一体どうなっているのでしょうか…。
衝撃の事実(ネタバレ)
コーリー院長によって、終盤に衝撃の事実が明かされます。
テディは、実は2年前からアッシュクリフ精神病院にいる患者だったのです。
そして、テディの本当の名前は“アンドリュー・レディス”だった。
テディの過去
うつ病だった妻ドロレスには自殺願望があった、連邦保安官だったアンドリューは酒に溺れ家には帰らなかった。
ドロレスはアパートを放火し、それがきっかけで湖畔に引っ越したレディス一家。
ある日、ドロレスは3人の子供たちを湖で溺死させた…
仕事から帰宅したアンドリューは、死んだ子供たちを発見し取り乱し…「私を楽にして」と言うドロレスを銃で撃ち殺した…。
アンドリューはアッシュクリフ精神病院に送られ、妻がしたことを受け入れられず妄想を創り上げるようになる。
“THE LAW OF 4, WHO IS 67 ?”
“4の法則 67は誰?”
レディス(ANDREW LAEDDIS)=テディ(EDWARD DANIELS)
ドロレス(DOLORES CHANAL)=レイチェル(RACHEL SOLANDO)
4の法則は、4つの名前がアナグラム(文字の入れ替え)になっているということ。
67は誰?は、アッシュクリフ精神病院のA棟,B棟,C棟の合計人数が66人なので、67人目がいるということ。
その67人目がアンドリュー・レディス。
ロールプレイ
創り話を何度も繰り返し、時に患者や警備員に暴力を振うアンドリューは危険だった。
病院は最後の手段“ロボトミー手術”を受ける前に、彼に正気に戻ってもらうために「ロールプレイ」を行った。
「妄想を現実にすれば、現実との矛盾に直面して嫌でも正気に戻るだろう」と。
冒頭の船酔いのシーン
テディは船酔いし「水が嫌い」と言うが、それは子供たちが溺死した記憶が頭のどこかにあるから。
“レイチェル・ソランドー”の犯行手口を聞いた時にも、ドロレスの犯行と同じため目眩がした。
チャック・オール
連邦保安官でテディの相棒チャックは、アンドリューの担当主治医だったシーアンが演じていた。
だから、シーアン医師は島の外に休暇で出かけたことになっていた。
島に到着した時に銃を渡すのに手間取っていたのは、シーアンは医師で保安官ではないから。
周りの人たち
テディがレディスだと、周りの患者や看護師たちは当然知っています。
馬鹿げたロールプレイをやっていることを笑ったり、会話にジョークを交えています。
警備がやたらと厳重でテディが取り乱すと緊張感が走るのは、テディが暴力的であり過去にも人を傷つけていて危険だから。
2回目の視聴では、こういうところに気づくようになります。
火と妄想
この映画では、「火」が“妄想”のトリガーとなっています。
マッチの火や松明の火など、テディの妄想シーンにはだいたい火がある。
ロボトミー手術
ロボトミー手術は患者に電気ショックを与え、目にアイスピックを突き刺し脳神経を取り出す。
そうすると、患者は痛みや感情など全く感じなくなり…記憶も全てなくしてしまう。
恐ろしい…まさに“廃人”ですね。
ロボトミーこっわ…
本当にあるんだね…この手術
エセル・バートン
テディが洞窟で出会い本物の“レイチェル・ソランドー”だと思ったエセル・バートン。
彼女は恐らくテディが創り出した妄想の中の人物で、島の陰謀を確かなものにしようとしています。
ですから、「ロボトミー手術」の方法も定かではありません。
移動する灯台
灯台が丘の上にあったり、海岸沿いにあったり、離れ小島にあったり…場所が移動しています。
これは、現実と妄想の区別がついていないテディの不安定な精神を表しているのではないでしょうか。
アンドリューの決断
アンドリューは、ロールプレイによって正気を取り戻しました。
しかし、最後のシーアン医師とのシーンで妄想が続いているフリをします。
そしてアンドリューは言います…
「ここにいると考える どっちがマシかな? モンスターのまま生きるか 善人として死ぬか」
このまま苦しみを抱え妄想を創り出し生き続けるか、ロボトミー手術を受け全てを忘れ廃人となるか…
正気には戻っていたが、自分が犯した罪とあらゆる罪悪感から…手術を受けるという決断をしたんだと思います。
全てを失い、島でも周りを巻き込み、もはや自分に生きる意味や価値がないと思ったのかもしれません。
「贖罪」…非常に切ない最後でした。
Shutter Island
映画のタイトルである「Shutter Island」
なんと、これもアナグラムとなっていて並べ替えると…
「Truths and Lies」(真実と嘘)
と、なっているようです。
まさかタイトルまでアナグラムになっているとは…
最初に見つけた人は凄いですね!
これは気づかないね
よく考えたもんだ
評価
Rotten Tomatoesでは、トマトメーター(批評家)69% ポップコーンメーター(観客)77%
metacriticでは、メタスコア(批評家)63/100 ユーザースコア(観客)8.3/10
IMDbでは、IMDbレーティング8.2/10 ユーザー評価8.3/10
批評家の評価は思ったより低かったですが、観客の評価は割と高めですね。
批評家が高く評価していても面白くない映画は結構ありますし、観客が満足する映画がいい映画だと思います。
まとめ
巨匠マーティン・スコセッシ監督×レオナルド・ディカプリオ主演「シャッターアイランド」
伏線だらけの非常に良くできたミステリー映画です。
1回目の視聴で衝撃の事実に驚愕し、2回目で伏線を回収していきます。
事実を知った上で観ても、改めて楽しめる作品。
改めて観ると、細かい目配せや会話の意味がわかってきます。
スコセッシ映画はいつも長いんですが、この作品は138分を長く感じさせません。
特に2回目以降は、かなり注意深く画面を見たりセリフを追うので。
「人は誰しも過去に犯した罪からは逃れられない」
とても考えさせられ、最後は切なくも感じました。
スコセッシの演出とディカプリオの演技は最高でした!
「シャッターアイランド」は、NETFLIXやAmazon Prime Videoなどで視聴できます。
ぜひ、一度だけではなく…最低でも二度は視聴してみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございます
びしょ濡れじゃないか ベイビー