次に何を観ようかと…目に留まったのがこの作品「アメリカン・スナイパー」
2015年に劇場公開されていて、自分は“クリント・イーストウッド”監督作品だとは知りませんでした。
そして、これが実話を基に製作されていたことも…映画の最後に初めて知りました。
この物語は、アメリカ海軍特殊部隊「ネイビー・シールズ」のスナイパー“クリス・カイル”の人生を描いています。
イラク戦争に派遣された1人のアメリカ海軍特殊部隊のスナイパー、彼は一体どんな人生を歩んだのでしょうか…。

アメリカン・スナイパー



タイトルはカッコいいよね


映画「アメリカン・スナイパー」
Xより
アメリカン・スナイパー(原題:American Sniper)は、2014年公開のアメリカの戦争映画。
クリント・イーストウッド監督作品で、アメリカ海軍特殊部隊「Navy SEALs」の狙撃手“クリス・カイル”の人生を描いている。
クリス・カイルの自伝「ネイビー・シールズ最強の狙撃手」が、脚本の基となっている。
戦争映画としては、「プライベート・ライアン」を超えて史上最高の興行収入額となっている。
STORY
アメリカ・テキサス州に住む“クリス・カイル”は、弟のジェフと共にロデオに夢中になっていた。しかし、1988年のアメリカ大使館爆破事件をきっかけに海軍へ志願する。厳しい訓練を乗り越え、アメリカ海軍特殊部隊「ネイビー・シールズ」へ配属されたクリス。恋人の“タヤ”と結婚し幸せな生活を送っていたが、2001年アメリカ同時多発テロ事件が起こりカイルはイラク戦争へと派遣される。狙撃兵として多くの仲間を救ったクリスは、やがて“レジェンド”と呼ばれるようになる。愛国心の強いクリスは4度も戦場へ向かうこととなるが、戦地での過酷な経験は彼の心を徐々に蝕んでいく…。
監督:クリント・イーストウッド
上映時間:132分



仲間を守るためか…



戦争は恐ろしいね…
クリス・カイル
クリストファー・スコット・“クリス”・カイルは、アメリカ・テキサス州オデッサ出身の元軍人、狙撃手。
聖職者であった父に連れられ、幼い頃からライフルを持って狩猟に出かけたり、弟と共に牧場で牛を育てるという生活をしていた。
カウボーイを目指し高校卒業後は、ロデオのプロとして生計を立てていたが怪我で断念。
1999年に一度は入隊を断られた海軍に入隊し、厳しい訓練の後に“Navy SEALs”のチーム3に配属される。
2003年に「イラク戦争」が始まり、2009年に除隊するまで計4回イラクに派遣された。
この戦争で敵の戦闘員を160人(非公式255人)を殺害し、敵からは「ラマディの悪魔」(ラマディの戦いにて)という異名で恐れられ懸賞金が懸けられた。
味方からは、「伝説の狙撃手」や「史上最高の狙撃手」と呼ばれ賞賛された。
除隊後は、軍事訓練などを行う民間軍事会社「クラフト・インターナショナル社」を立ち上げ、講演や執筆活動も行った。
2012年に自伝「ネイビー・シールズ最強の狙撃手」(American Sniper : The Autobiography of the Most Lethal Sniper in U.S. Military History )を出版し、後にこの本はベストセラーとなる。
NPO団体「FITCO Cares Foundation」を設立し、PTSDに悩む帰還兵や退役軍人のための支援活動をした。
2013年2月2日、PTSDを患う元海兵隊員の“エディ・レイ・ルース”の母親から依頼を受け、彼と同じく退役軍人の“チャド・リトルフィールド”と共にテキサス州の射撃場へ向かった。
ルースに射撃訓練を行わせていたところ、ルースが突然クリスとチャドに発砲し2人は死亡した。
クリスの死後2014年に、[クラフト・インターナショナル社」は破産した。
多くの人たちがクリスの死を惜しみ、彼の功績を讃え沿道に集まりました。
監督
クリント・イーストウッド
クリント・イーストウッドは、カリフォルニア州・サンフランシスコ出身の俳優、映画監督、映画プロデューサー。
役者にはあまり興味がなかったが、人との出会いから1954年4月に週給100ドルでユニバーサルと契約。
同年に「半魚人の逆襲」で端役をもらい映画デビュー。その後もいくつかのテレビドラマに出演したが芽は出ず、プール工事など複数の仕事をして生活していた。
1959年から放送された西部劇テレビシリーズ「ローハイド」に出演し、番組が人気となったことでこの作品がキャリアの転機となる。
1964年「荒野の用心棒」1964〜1966年「夕陽のガンマン」3部作に出演するが、イタリア映画のためアメリカでの知名度は上がらなかった。
1970年代に「真昼の決闘」「戦略大作戦」、「恐怖のメロディ」では初監督、そして「ダーティーハリー」で人気者となる。
1992年、監督兼主演を務めた「許されざる者」でアカデミー監督賞と作品賞を受賞。2004年「ミリオンダラーベイビー」でもアカデミー監督賞と作品賞を受賞した。
その間に「マディソン郡の橋」や「ミスティック・リバー」なども監督・主演する。
2006年「父親たちの星条旗」2007年「硫黄島からの手紙」で日米戦争を双方の視点で描いた。
2008年の「グラントリノ」で俳優業を引退し、監督業に専念すると発言したがその後も出演している。
主演
ブラッドリー・クーパー(クリス・カイル役)
ブラッドリー・チャールズ・クーパーは、アメリカ・ペンシルバニア州フィラデルフィア出身の俳優、映画監督、映画プロデューサー、歌手。
ワシントンD.C.にあるジョージタウン大学を卒業後、“アクターズ・スタジオ”で演技を学ぶ。
1998年にテレビシリーズ「セックス・アンド・ザ・シティ」で俳優デビューし、2001年「Wet Hot American Summer」で映画デビューした。
2009年に映画「ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」でブレイクを果たす。
2011年「リミットレス」がヒットし、ピープル誌の“最もセクシーな男性”にも選ばれる。
2012年に舞台「エレファントマン」で主演し、同年公開の「世界にひとつのプレイブック」もヒットしアカデミー賞やゴールデングローブ賞などにもノミネートされた。
2013年「アメリカン・ハッスル」で高い評価を受け、2015年「アメリカン・スナイパー」でも賞賛された。
2018年「アリー/スター誕生」で主役兼初監督を務め、俳優としても監督としても批評家に絶賛される。
主演の“レディー・ガガ”と制作した「アリー/スター誕生 サウンドトラック」も絶賛され、第61回グラミー賞や第91回アカデミー賞などで歌曲賞などを受賞した。
2018年「運び屋」、2021年「リコリス・ピザ」、2023年「マエストロ:その音楽と愛と」で監督兼主演、「アベンジャーズ」シリーズにも出演している。
プロデューサー業もしており、「世界にひとつのプレイブック」と「アメリカン・ハッスル」では製作総指揮、「アメリカン・スナイパー」と「アリー/スター誕生」では製作を勤めている。
多くの賞に何度もノミネートされているが、アカデミー賞やゴールデングローブ賞は受賞していないようです。
俳優に監督にプロデューサー、料理も出来て歌も歌える…かなり器用で多才な人ですね。
「アメリカン・スナイパー」では、完全に“クリス・カイル”になり切っていて素晴らしい演技でした。
ブラッドリーはこの作品のために過酷なトレーニングを行うと同時に、1日5食摂り体重を18キロも増量したそうです。


感想
実話とは知らずに観たんですが、殺人が許されてしまう戦争とは…一体何なのでしょうか?!
自国の兵士を守るためとはいえ、160人以上の人を殺して英雄となったスナイパー。
最後に実話だということがわかった時、とても複雑な気持ちになりました。
しかも、スナイパーは現場から離れた安全な場所から隠れて標的を狙うもの。
狙われた者は、どこから撃たれたのかもわからず突然に死を迎えるという…非常に恐ろしいですね。
ちょっと“卑怯”にも感じますが、戦争に卑怯もへったくれもないのかもしれない。
戦場で目の前で負傷していく仲間たちを見て、彼自身も精神を病み苦しみました。
戦争映画を観るたびに、殺人を正当化し誰も幸せにしない戦争は決してしてはならないものだと感じます。
イーストウッドは彼を“英雄”として描きたかったんだと思いますが、戦争で160人以上を殺しまくって“英雄”として讃えるのはどうなんでしょうか。
いかにもアメリカっぽいというか、もっと考えなきゃいけないことがあるんじゃないかと思ってしまう。
フィクションなら良かったのに、実話となると単純に“いい映画”とは言えないかもしれない。
同じ実話なら「ハクソーリッジ」の方が良かったと思います。
クリス
幼い頃から父と共に狩猟に行き、ライフルを扱っていたクリス。
アメリカ大使館爆破事件やアメリカ同時多発テロなどをきっかけに、軍隊に入隊するという愛国心の強い男。
彼を突き進めたものは、強い“愛国心”だけだったのではないでしょうか。
良き父で優しい夫だったクリスは、戦場では多くの人を殺めていきます。
彼は自伝で、仲間を攻撃する敵を「悪人」とし…彼らを撃つことに一切の罪悪感はなかったと語っているようです。
“自分が敵を倒せば、もっと多くの味方の命を救える”…という考えだった。
映画の中で女性と子供がターゲットになるシーンがあるが、クリスが言うには…それが最初で最後の女性の標的だったと。
戦場での過酷な経験から、クリスはPTSDになり人が変わってしまう。
アメリカでは、帰還兵や退役兵がPTSDになる人間は多いと聞きます。
それだけ、戦場での過酷な経験が人に与える精神的ダメージが大きいということでしょう。
何度も戦場へと戻るクリスは、まるで何かに取り憑かれているようでした。
それは“愛国心”なのか“復讐心”なのか…
「除隊して家族と共に幸せな日々を遅ればいいのに…」と、何度も思ってしまいましたね。
そして、彼を待っていた運命は…衝撃的なものだった。
まさかの結末だったんですが、ある意味…「因果応報」とも考えられるのか。
タヤ
クリスと出会い結婚し、子宝にも恵まれ幸せだったタヤ。
彼が愛国心に駆られ戦争へと旅立ち、居ても立っても居られなかったでしょう。
しかし、そうも言っていられず…彼女は子供の世話をしなければいけません。
一時帰国したクリスは、以前と異なり心がなく別人だと感じていた。
「なぜ彼は戦場へと戻るのか…」タヤには理解ができなかった。
確かに、誰が見ても“家族と幸せに暮らせばいいのに…”と思ってしまう。
1回の帰還がどれだけの時間だったのかわかりませんが、家族からしたらあっという間だったのだと思います。
クリスが多くの人間を殺害していても、家族もクリスと同様に「悪人だから仕方がない」と思っていたのでしょうか。
彼は軍人だから“命令通りに仕事をしていただけだ”と言われれば…確かにそうですよね。
ムスタファ
映画の中で、ムスタファという射撃競技の元オリンピック選手のスナイパーが登場します。
彼はフィクション上の人物で、クリスがこのムスタファと直接対峙したという事実はありません。
よって、クリスが彼を1,920mの距離から狙撃したシーンもフィクションです。
ムスタファはアメリカ軍の脅威だったにも関わらず、台詞が一切なかったのが少し可哀想でした。笑
一言でもあげてくださいよ…クリントさん。
アメリカ同時多発テロ
2001年にアメリカ同時多発テロが起こり、アメリカが攻撃されたと世界が激震しました。
私は当時ロサンゼルスに住んでいて、ニュースのまるで映画のような映像に釘付けになっていたのを覚えています。
そして、2003年にイラクの“大量破壊兵器保持”を理由に「イラク戦争」が始まった。
当時のアメリカ大統領は“ジョージ・W・ブッシュ”で、結局アメリカが指摘した“大量破壊兵器”は見つかりませんでした。
アメリカ同時多発テロには多くの疑惑があり、“アメリカの自作自演”で実際はCIAの工作員がWTCを爆破した…などと言われています。
本当の狙いはイラクの石油で、この戦争でブッシュたちDS(ディープ・ステート)が大儲けしたのではないかという疑惑もある。
実際にイラク戦争に行ったアメリカ軍の兵士たちは、「俺たちは一体何と戦っているんだ?」と疑問を抱いていたという話もあります。
確かに、大量破壊兵器も何もなかったわけですから…本来の目的が失われていますよね。
この“偽旗作戦”により、クリスを含むたくさんのアメリカ兵がイラクへと派遣されました。
太平洋戦争の原因となった「真珠湾攻撃」も“偽旗作戦”ですよね。
戦争
戦争は常に“マッチポンプ”ですから、必ず人為的に起こされています。
誰かが得するために、多くの兵士が駒となって戦い…尊い命が失われていく。
戦場から運良く帰還できた者は、過酷な体験からPTSDを患い苦しむこととなる。
戦争は本来「軍隊 vs 軍隊」がルールだが、いつも民間人が犠牲となる。
“原爆”や“東京大空襲”などで、どれだけの民間人が命を奪われたことか…。
女子供も関係ない「大量虐殺」に他なりません!
戦争は悲劇しか生まない…
しかし、人類は戦争を繰り返す。
「操る者」がいる限り、この世界から戦争はなくならないでしょう。
戦争を止めようとする影響力の大きな人物、例えば“ジョン・レノン”のような人は殺されてしまうのです。
そうとしか考えられないほど、この世界は闇深く歪んでいる。
評価
Rotten Tomatoesでは、トマトメーター(批評家)71% ポップコーンメーター(観客)84%
metacriticでは、メタスコア(批評家)73/100 ユーザースコア(観客)6.6/10
IMDbでは、IMDbレーティング7.3/10 ユーザー評価7.3/10
全体的に高めの評価となっています。
確かに、多くの兵士たちの命を救っているのは事実ですからね。
彼がとても優しくいい人であったため、多くの人が感動したのかもしれません。


まとめ
2015年に公開された、クリント・イーストウッド監督の映画「アメリカン・スナイパー」
実在した「伝説の狙撃手」の異名を持つ“クリス・カイル”の人生を描いた作品です。
イラク戦争に4回に渡り派遣され、味方の兵士を守るため計160人以上を射殺したスナイパー。
スナイパーライフルを撃つ反動がその威力を感じさせ、被弾すれば即死という恐怖を思い知る。
味方を守るため敵を“悪人”として殺めるクリス、殺人を正当化するというより…そもそも戦争自体が間違っている。
彼は確かに多くの兵士たちの命を救ったのだが、単純に英雄として称賛していいものなのかと考えさせられます。
彼が優しい父親でいい人だっただけに、ラストは衝撃的でした。
2025年7月15日現在、Amazon Prime Video, U-NEXT, Hulu, Netflixなどで視聴できます。
ぜひ、視聴してみてください!



最後まで読んでいただきありがとうございます



もう家へ帰るよ