「キングスマン」のシリーズ3作目であり、“Kingsman”の誕生を描いた「ファースト・エージェント」
役者もガラリと変わり、1,2作目とはまた違った作品という感じです。
“始まりの物語”ということなので、観ないわけにはいきません。
迷わず観ることにしました。
前の2作とは雰囲気が違う感じだね
1902〜1914年ぐらいの話だからね
映画「キングスマン:ファースト・エージェント」
映画.com&アクション・スター・ネットワークより
キングスマン:ファースト・エージェント(原題:The King’s Man)は、2021年公開のイギリス・アメリカ合作のスパイアクション映画。
1,2作目の前日譚となる“Kingsman”誕生を描いた作品。
STORY
1902年、英国の名門貴族である“オーランド・オックスフォード公”は、妻の“エミリー”と息子の“コンラッド”を連れて南アフリカで「赤十字」の活動をしていた。英国軍の基地を訪れた際に、敵の襲撃に遭いオーランドは左脚を撃たれ妻は腹部を撃たれ亡くなってしまった。そして、1914年…“羊飼い”と呼ばれる男を中心とした、「闇の狂団」が世界を破壊する戦争を起こそうとしていた。オーランドは執事の“ショーラ”と“ポリー”と共に、独自の諜報網から情報を導き出し羊飼いの陰謀を阻止するために動き出す。
監督:マシュー・ヴォーン
上映時間:131分
ラスプーチン!
実在した人物を絡めてるみたい
主演
レイフ・ファインズ(オーランド・オックスフォード公/アーサー 役)
レイフ・ファインズは、イングランド・サフォーク出身のイギリス人俳優、映画監督、映画プロデューサー。
王立演劇学校で舞台俳優としてキャリアをスタートさせ、1995年ブロードウェイで「ハムレット」に主演しトニー賞を受賞した。
1992年に映画「嵐が丘」で主演し、1993年スピルバーグ監督の「シンドラーノリスト」で英国アカデミー賞助演男優賞を受賞、アカデミー助演男優賞にノミネートされた。
1996年「イングリッシュ・ペイシェント」でアカデミー主演男優賞にノミネート。
2005年「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」で魔法使い“ヴォルデモート”を演じ、シリーズ最終章まで出演し知名度が上がった。
2011年「英雄の証明」で監督デビューし、製作と主演も務めた。
2012年「007 スカイフォール」に出演し、2014年「グランド・ブダペスト・ホテル」で英国アカデミー賞主演男優賞、ゴールデングローブ賞主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートされた。
登場人物
役名 | 役者名 | 説明 |
---|---|---|
オーランド・オックスフォード公/アーサー | レイフ・ファインズ | 英国の名門貴族で軍人だったが、国の欺瞞と殺戮に嫌気が差し「赤十字」の活動をしていた 後の初代“アーサー” |
コンラッド・オックスフォード | ハリス・ディキンソン アレクサンダー・ショウ(少年期) | オーランドの息子で、英国の兵士として戦場に行くことを望んでいる |
エミリー・オックスフォード | アレクサンドラ・マリア・ララ | オーランドの妻であり、コンラッドの母親 戦争がなくなり誰もが平等になることを願っていた |
ポリー・ワトキンズ/ガラハッド | ジェマ・アータートン | オックスフォード家の女性執事で、オーランドをサポートしている 後の“ガラハッド” |
ショーラ/マーリン | ジャイモン・フンスー | オックスフォード家の執事で、赤十字活動にも同行していた 後の“マーリン” |
アーチー・リード/ランスロット | アーロン・テイラー=ジョンソン | 戦地でコンラッドに頼まれて、彼と入れ替わった人物 後の“ランスロット” |
グリゴリー・ラスプーチン | リス・エヴァンス | 帝政ロシア末期の祈祷僧 怪しい妖術のようなものでロシア皇帝の心を操っていた |
エリック・ヤン・ハヌッセン | ダニエル・ブリュール | ドイツで活躍した預言者を名乗る手品師・占星術師 |
マタ・ハリ | ヴァレリー・パフナー | フランス・パリで活躍したオランダ人ダンサー・ストリッパー 女スパイとも言われていた |
ガヴリロ・プリンツィプ | ジョエル・バズマン | セルビアのテロリストで、第一次世界大戦の引き金となった「サラエボ事件」を起こした男 |
ウラジーミル・レーニン | アウグスト・ディール | ロシアの革命家で、ソビエト連邦の初代指導者 |
ジョージ5世/パーシヴァル | トム・ホランダー | イギリスの国王で、戦争は望んでいない 後の“パーシヴァル” |
ヴィルへルム2世 | ドイツの皇帝で、最後のドイツ君主 | |
ニコライ2世 | ロシアの皇帝で、最後のロシア皇帝 | |
ハーバート・キッチナー | チャールズ・ダンス | イギリスの陸軍軍人(元帥)で、多くの勲章を授与されている |
アドルフ・ヒトラー | ダフィット・クロス | ドイツの政治家で、国家元首(総統) ナチスの指導者 |
実在した人物ばかりだね
ラスプーチン以下は全員ね
感想
時代も古いので1,2作目のような“スパイアイテム”は登場しませんが、それなりに楽しく観ることができました。
今までのような派手な爆発や銃撃戦がなくても、剣での戦いなどけっこう見応えがあります。
史実に基づき、実在した有名な人物も登場します。
“Kingsman”誕生の背景として、「政治家に任せては何も解決しない」というオーランドの言葉が印象に残りました。
オーランド
英国が国外で行なっている「侵略や殺戮」に嫌気が差し退役、世界の戦地に薬品などを届ける“赤十字”の活動をしているオーランド。
「ブレイブハート」でもあったようにイギリスは、スコットランドやアフリカなど世界各地を侵略し殺戮を繰り返していました。
その部分をあえて掘り出しているこの作品は、個人的にはとても好感が持てます。
オーランドは妻を失い、息子のコンラッドまでも亡くしてしまう。
戦争の無意味さを知り「戦いではなく、死にに行くだけ」とわかっているオーランドは、息子が兵士になることを何度も止めていました。
あまりの哀しみに酒に溺れるが、ポリーの言葉で目を醒ます。
政府は頼りにならないから、自分たちで何とかしようと動き出す。
“Kingsman”の始まりと言えるでしょう。
パラシュート降下と崖は、非常にドキドキさせられました。
コンラッド
愛国心が強いコンラッドは、戦地に兵士として行くことを強く希望します。
父親にずっと反対されていましたが、それを振り切り英国軍に入隊しドイツ軍との最前線に行くことになります。
彼のように「国のために命を捧げるのは美しくて立派だ」という“嘘”を信じて、日本でも多くの若者たちの命が失われました。
コンラッドは戦地での壮絶な体験で、やっと父が言っていた意味を理解します。
部下の“アーチー・リード”と入れ替わってまで戦地に残った事が仇となり…
正義感が強く、真面目な好青年だっただけに残念です…。
ポリー
オックスフォード家の執事の1人であるポリーは、オーランドにも意見が言えるとても強い女性です。
妻を亡くした時も、オーランドを支えていたことでしょう。
コンラッドも失い、酒に溺れていたオーランドを目覚めさせます。
執事のネットワークを構築し、ライフルも撃てる万能執事のポリー。
後の初代“ガラハッド”ですが、まさか女性だったとは…。
ショーラ
オーランドの赤十字の活動にも同行していたショーラ。
ナイフを使った近接格闘に優れています。
身体能力の高さを活かして、オーランドをサポートする。
後に初代“マーリン”となりますが、現場でも活躍できるタイプです。
ラスプーチン
なんとも怪しい風貌の男ラスプーチン。
映画を視聴した後に調べたら、本物のラスプーチンそっくりで笑いました。
病気を治療したり人を操り、信者を増やし“教祖”のような存在になっていったラスプーチン。
たくさんの女性信者を近くに置き、ハーレムのような淫乱生活を送っていたようです。
彼の33センチの“巨根”がサンクトペテルブルクの博物館に保存されているみたいです。笑
ラスプーチンがオーランドたちと、“コサックダンス”を踊るように戦うシーンは見応えがありました。
音楽も良くて、彼の身軽さが素晴らしかったです。
ラスプーチンはキャラ濃かったね
33センチ…
ジョージ5世
平和を望むイギリスの国王ジョージ5世ですが、まさか他の2人も同じ俳優が演じているとは思いませんでした。
3人の判断次第で“戦争が起こる”というのも、とても恐ろしい事です。
そこに漬け込んだのが、“羊飼い”率いる「闇の狂団」でした。
羊飼いと闇の狂団
祖国“スコットランド”を抑圧し続けてきた、イギリス国王を憎んでいる羊飼い。
ロシアを戦争から撤退させ、ドイツにイギリスを滅ぼしてもらおうと企んでいる。
そのためにラスプーチンをロシアに、エリックをドイツに、マタ・ハリをアメリカに、ガヴリロをサラエボに潜り込ませ、自身はイギリスに。
「闇の狂団」のメンバーは、史実上で実在した人物で構成されています。
ロシアの怪僧“ラスプーチン”、女スパイ“マタ・ハリ”、セルビアのテロリスト“ガヴリロ・プリンツィプ”、ロシアの革命家“レーニン”、ドイツの偽預言者“エリック・ヤン・ハヌッセン”
最後の最後に若き日の“ビッグゲスト”が登場していましたね。
“Kingsman”誕生
なんとか“羊飼い”の陰謀を阻止したオーランドたちは、“サヴィル・ロウ11番地”にある高級テーラー「Kingsman」に集まります。
若い命を戦争で失わせないために「資力ある組織が、平和を維持し人命を守る」独立した諜報機関が必要だと訴えます。
こうして“キングスマン・エージェンシー”が誕生しました。
「キングスマンよ 永遠に…」
評価
Rotten Tomatoesでは、トマトメーター(批評家)41% オーディエンススコア(観客)80%
metacriticでは、メタスコア(批評家)44/100 ユーザースコア(観客)5.2/10
IMDbでは、IMDbレーティング6.3/10 ユーザー評価6.4/10
ロッテントマトでの、批評家と観客の差が凄いですね。
全体的に、もう少し高くてもいいのではないでしょうか。
個人的には、けっこう面白かったんですけどね。
今後の「キングスマン」シリーズ
制作会社MARVによると、「ファースト・エージェント」製作前から7本の新作の企画があったようです。
次は“エグジーとハリー”のメインシリーズ第3弾だと思うんですが、それが2人の関係の「完結編」になるようです。
ヴォーン監督は、ハリー役のコリン・ファースが動けるうちに(更に歳をとる前に)撮りたいと語っていました。
「ファースト・エージェント」の続編も製作されるようで、“キングスマン・エージェンシー”の最初の10年間を描く構想みたいです。
他にも「ヒトラーが権力を握るまでの物語」や、「ステイツマン」のスピンオフの企画もあるようです。
そんなに企画があるんだね
とりあえず次の「キングスマン3」が楽しみ!
まとめ
シリーズ3作目であり、“Kingsman”誕生を描いた「キングスマン:ファースト・エージェント」
1,2作目の前日譚となっています。
妻と息子の死を乗り越えて、「闇の狂団」の陰謀の阻止に挑む“オーランド・オックスフォード”
史実上に実在した人物たちが登場し、第一次世界大戦の混乱の中で暗躍した“Kingsman”の始まり。
現代を舞台とした過去作とは、キャストも時代もガラリと変わっています。
時代的に凝った“スパイアイテム”は登場しませんが、それでも楽しく観ることができました。
“Kingsman”がどうやって誕生したかという話なので、1,2作目を観たいとは観るしかないでしょう。
オックスフォードが、戦争に行きたいと言うコンラッドに行った言葉
「It’s not fighting, it’s dying !」
(戦いではない、死ぬだけだ!)
この言葉が印象に残りました。
もう二度と…若者たちが戦争に巻き込まれて、無駄に命を落とすのを見たくない…亡き妻の想いでもあります。
だから“Kingsman”が誕生したのです。
“政治家に任せては何も解決しない”というのは、どこの国も同じなんですね。
まだ視聴していない方は、ぜひご覧になってみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございます
キングスマンよ 永遠に…