映画の感想は人それぞれです。
映画を観て何を思おうが観た人の自由です。
人によって「何を感じたか」が違うのもまた、映画の面白さではないでしょうか。
このシリーズでは、私の個人的な感想を自由に書きたいと思います。
なお、多少のネタバレが含まれますので、内容を知りたくない方は注意してください。
また車の映画?
いや、これは人間ドラマなんだよね〜
映画「フォード vs フェラーリ」
20世紀スタジオ より
「フォード vs フェラーリ」(原題:Ford v Ferrari)は、2019年に公開されたアメリカの伝記ドラマ。
1960年代に繰り広げられたフォードとフェラーリの覇権争いを舞台に、元レーシングドライバーでカーデザイナーの“キャロル・シェルビー”とイギリス人レーサー“ケン・マイルズ”の友情と挑戦を描いた実話を基にした人間ドラマ。
STORY
1963年アメリカで大成功している自動車メーカー“フォード・モーター”の会長であるヘンリー・フォード2世は、モーターレースに参戦するために当時のル・マン24時間レースで負けなしだった“フェラーリ”を買収しようとした。しかし、フェラーリから買収を拒否され屈辱的な言葉を投げつけられた。これに怒ったヘンリー・フォード2世は、ル・マン24時間レースでフェラーリを打ち負かすことを決める。優秀なエンジニアやドライバーが必要となり、ル・マン優勝経験のあるシェルビーと偏屈ドライバーのマイルズに声がかかる。そして、巨大自動車メーカーと2人の男たちの挑戦が幕を開ける!
監督はジェームズ・マンゴールド
「17歳のカルテ」「ニューヨークの恋人」「ウルヴァリン:SAMURAI」「インディー・ジョーンズと運命のダイヤル」などを手掛けている。
ヒュー・ジャックマンとよくタッグを組んでいる印象です。
主演
マット・デイモン(キャロル・シェルビー役)
本名マシュー・ペイジ・デイモンは、アメリカ・マサチューセッツ州ケンブリッジ出身のアメリカ人俳優、脚本家、映画プロデューサー。
ハーバード大学在学中の10代の頃から役者を目指す。1988年にジュリア・ロバーツ主演の「ミスティック・ピザ」の端役でデビュー。
無名時代に幼馴染のベン・アフレックと共に書いた脚本が、長い月日をかけて1998年に「グッドウィル・ハンティング/旅立ち」として映画化され、アカデミー脚本賞を受賞し主演男優賞にもノミネートされた。
2001年「オーシャンズ11」2002年「ボーン・アイデンティティ」が大ヒット。共にシリーズ化されて人気シリーズとなる。
2007年には、ハリウッド“ウォーク・オブ・フェイム”に名前が刻まれた。
ハーバードは中退してしまったようで、本人は後にそのことを後悔しているようです。
オーシャンズやボーン・シリーズは私も大好きな映画でお気に入り。
今回マット・デイモン主演の映画は久しぶりに観ましたが、マイルズのことを思い信じる姿が非常に良かったです。
クリスチャン・ベール(ケン・マイルズ役)
本名クリスチャン・チャールズ・フィリップ・ベールは、イギリス・ウェールズ出身のイギリス人俳優。
1987年13歳の時にスティーヴン・スピルバーグ監督の「太陽の帝国」でデビュー。
「アメリカン・サイコ」「リベリオン」「バットマン ビギンズ」「ターミネーター4」などでキャリアを重ね、2010年「ザ・ファイター」でゴールデングローブ賞助演男優賞、アカデミー賞助演男優賞を受賞。
その後も、アカデミー賞受賞やノミネート歴がある演技派俳優。
体重を激減させたり激増させたり、役作りにかける役者魂には定評がある。
クリスチャン・ベールは「ダークナイト」のイメージがあって、あまり他の映画を観た記憶がありません。
助演男優賞を受賞した「ザ・ファイター」など、そのうち観てみようと思っています。
「ハウルの動く城」のハウルや「君たちはどう生きるか」の勝一など、アメリカ版で声優を務めているようです。
しかも、両方とも日本版では木村拓哉が声優を演じているものをベールが演じているのが面白いですね。
今回の実在した“ケン・マイルズ”役は、家族を想う姿や葛藤、レーサーとしての思いなどの演技が素晴らしかったと思います。しかも、外見も本人とけっこう似てるんです。
一度は引退を決めていたレーシングドライバーの“生きざま”をぜひ観ていただきたい!
😭胸を熱くする絆のドラマが
— 20世紀スタジオ (@20thcenturyjp) November 18, 2019
堂々の初登場1位発進🏁
特別映像も解禁❗
絶対王者に挑んだ男たちの挑戦の実話『#フォードVSフェラーリ』が、全米で興収約33億円(週末3日間)を叩き出し首位を獲得❗
🍅映画批評サイトRotten Tomatoesでも評論家92%、観客98%と大絶賛❗ アカデミー賞最有力候補に🏎 pic.twitter.com/1Q6MCxlPOt
演技派2人の共演なんだね
この2人の友情がいいんだよな〜
良かった点
- 実話を基に作られている
- 迫力のレースシーン
- 車好きでなくても楽しめる
- 二人の演技
- 男の生き様
- 家族の愛や友情
- 153分を長く感じさせない
実話を基に作られている
やはり実話をベースにしているというのは魅力的です。
無敵のフェラーリにモータースポーツに参戦したてのフォードが勝つなんて、当時では考えられなかったことでしょう。
シェルビーとマイルズも実在した人物なので、それだけで映画がより面白くなります。
迫力のレースシーン
レースシーンはスピード感がありなかなかの迫力。
どうやらCGはほとんど使わずに撮影されたようです。
車好きでなくても楽しめる
この映画は車好きの為の映画ではありません。確かに車の専門的な用語は出てきますが、メインはレースではなく人間ドラマです。
シェルビーとマイルズの友情と挑戦、家族の愛、自身の葛藤、巨大企業のしがらみなど、レースだけではない人間ドラマが描かれています。
二人の演技
マット・デイモンとクリスチャン・ベールの素晴らしい演技が、この映画をより面白くしています。
ケン・マイルズ役のクリスチャン・ベールは激痩せして外見もマイルズに寄せていて、視聴後にマイルズの写真を見たらかなり似ていたのでびっくりしました。
もしかしたら、話し方や仕草まで似せていたのかもしれません。
男の生き様
マイルズは短気で扱いにくい性格です。レーシングカーを知り尽くしカーレースも熟知しています。
自分を信じ信念を曲げずに突き進むのか、家族や企業との調和を選択するのか…これもひとつの見どころでした。
家族の愛や友情
マイルズの家族がいいんですよね。奥さんはレーサーである夫が好きで、息子も車好きでお父さんが大好き。
常に命の危機と隣り合わせのレーサーを応援するのは、非常に複雑であり大変なことだと思います。
それを支える妻の姿がいいんですよ。息子も可愛いし。
シェルビーとマイルズの友情もいいんです。殴り合いをするぐらいの友情っていいですよね。
とにかくお互いを信じていたんだと思います。是非、映画を観て確認してください。
153分を長く感じさせない
視聴する前に153分あると知り、そんなに長いのか…と思っていました。
しかし、実際観てみると長さを感じさせない展開で物語に引き込まれました。
ご覧になる方は、躊躇しないで観ていただきたい。
残念だった点
- フェラーリ側の描写がほぼない
- 敵はフェラーリではない
- メカニックの苦労が描かれていない
フェラーリ側の描写がほとんどない
「フォード vs フェラーリ」というタイトルなのに、フォードばかりでフェラーリ側の描写がほとんどありません。
なぜフェラーリが経営不振に陥り、どう挽回しようとしていたのか?
なぜフェラーリのマシンはそんなに速く、レースに勝ち続けていたのか?
この辺を知りたかったんですが、尺を考えてカットしたのでしょうか。
ル・マン24時間レースではイタリア語の字幕も出ず、何を話しているのかわかりませんでした。(想像はできましたが…)
敵はフェラーリではない
これもタイトル詐欺とまでは言いませんが、確かにレースの敵はフェラーリですが本当の敵はフォード内部にいました。
大企業は見栄えや利益優先であるのは世界中どこも同じですね。最後のゴールシーンには呆れましたよ。
少しフォードを悪く描き過ぎた感はありますが、事実でありフォードが許可しているのなら問題ないでしょう。
メカニックの苦労が描かれていない
ドライバーの技術だけがフィーチャーされていますが、ル・マンは24時間走り続けるわけで耐久性がかなり重要になってきます。
マイルズがもっとこうしろと言うシーンはあるんですが、それに対するメカニックの意見や苦悩が描かれていません。
車が動かなくなればリタイアで、どれだけ速くても意味がありません。速さ以上に重要な耐久性を支える技術やメカニックたちも描いて欲しかったですね。
レビューでタイトルについて書いている人は結構いたね
まあ、あれは言われても仕方ないかも…
史実との相違
1964年のル・マン24時間レースでフォードがGT40で初参戦したが、シェルビーはフォードではなく自社のシェルビー・デイトナで参戦している。マイルズも出ていない。
翌年のル・マンにはフォードで参戦しマイルズを起用したが、6台全てリタイアし2年連続でフォードは惨敗している。
映画ではフェラーリの創設者である“エンツォ・フェラーリ”がレースを観戦しているが、実際はサーキットには来ないことで有名だった。
フォードの副社長“レオ・ビーブ”が映画内で悪者として描かれているが、シェルビーと仲は良くはないが映画で描かれたほど悪い人間ではない。
映画を観ている時に「これは本当なのか」と気になる箇所がいくつかありました。
ル・マン24時間レースのゴールシーンが本当だったのには驚きましたね。
評価
2019年の全米公開当時は、初登場で1位を獲得。同時にロシア、メキシコ、イタリア、オーストラリア、アルゼンチン、香港など11の国と地域で1位を獲得しました。
辛口で有名な映画批評サイト「Rotten Tomatoes」(ロッテントマト)では、批評家92%、観客98%と高評価。
Amazonでも86%のユーザーが星4つ以上の評価をしています。
第92回アカデミー賞に4部門(作品・音響編集・録音・編集)にノミネートされ、音響編集賞と編集賞の2部門を受賞!
第44回日本アカデミー賞では優秀外国作品賞を受賞!
モータースポーツ映画がアカデミー作品賞にノミネートされたのはこの作品が初めてだった。
車好きの為の映画だったらこんな評価にならないよね
アカデミー賞も受賞してるしね
まとめ
1960年代に実際にあったフォードとフェラーリの覇権争いをテーマに、キャロル・シェルビーとケン・マイルズの友情と挑戦を描いた「フォード vs フェラーリ」
“車好きのためのただのレース映画”ではありません。車好きでなくても楽しめる“男の生き様を描いた人間ドラマ”
マット・デイモンとクリスチャン・ベールの演技が素晴らしく、153分を長く感じさせず物語に引き込まれていきます。
敵はフェラーリではなく、実際は“フォード上層部”という内容になっています。
原題が「Ford v Ferrari」となっているので、もしかしたら“フォードがフェラーリに勝つ”という意味かもしれません。もしそうならば、日本語タイトルが間違っていることになりますよね。
まあ、それはともかく面白い作品になっています。
実話をもとに制作されているので、それを頭に入れておくとより驚きがあると思います。
第92回アカデミー賞音響編集賞と編集賞の2部門を受賞!第44回日本アカデミー賞では優秀外国作品賞を受賞しました。
最後は少し切なくなりますが…男の“友情と生き様”を描いた「フォード vs フェラーリ」
是非、ご覧になってみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました
カーレースに人生を捧げた男…ケン・マイルズ