2024年7月25日にNETFLIX製作ドラマ「地面師たち」が配信されました。
正直、あまり興味はなかったので観ようか迷っていました。
でも実際に起きた“地面師詐欺事件”を基にしているということで、なんとなく観てみることにしました。
“地面師”って聞き慣れない言葉だね
“地面の詐欺師”ってことらしいよ
NETFLIX シリーズ「地面師たち」
NETFLIX公式Xより
地面師たち(Tokyo Swindlers)は、同名の新庄耕の小説を原作としてNETFLIXが製作した日本のドラマ。
STORY
土地の価格が高騰した東京。“辻本拓海”は“ハリソン山中”と名乗る大物不動産詐欺師のリーダーと出会った。拓海はハリソンによって“地面師”として育てられ、拓海は「交渉役」で「情報屋」の竹下、「手配師」の麗子、「法律屋」の後藤らと共に不動産詐欺を行っていた。ハリソンが次のターゲットとして選んだのは、過去最大の獲物である“市場価格100億円”の不動産だった。大手デベロッパーを相手に駆け引きを繰り広げる中、同時に警察も裏で動いていた。次第に明らかになっていく拓海の過去とハリソンの正体。果たして…100億円という巨額の詐欺は成功するのか!?
監督:大根仁
視聴時間:37〜66分
“土地狂ってる”だって
特に“ハリソン”はヤバいね
積水ハウス地面師詐欺事件
2017年6月1日に積水ハウスが地面師グループに約55億5千万円を騙し取られた事件。
事件のターゲットとなった土地は、東京都品川区西五反田2−22−6にあった旅館「海喜館」(うみきかん)で時価100億円と言われていた土地だった。
積水ハウスは所有者に成りすました女と、約600坪の旅館の敷地を70億円で購入する売買契約を締結。
売買の窓口となった「IKUTA HOLDINGS株式会社」に6月1日に所有権移転の仮登記を申請。
6月24日、所有者の実弟である大田区の2人の男性が“相続”を原因に所有権を移転した。7月4日に登記され所有者は既に死亡していた。
積水ハウスが騙されたことを認めたのは8月2日だった。
その後、その土地は「旭化成不動産レジデンス」が正式に土地を買取り、超高層マンション“アトラスタワー五反田”が建てられた。
ドラマでは高輪のお寺の隣の土地がターゲットとなっていて、実在はしませんが境内の周りにVFXで高層ビルを作っていたようです。
積水ハウスは“石洋ハウス”となっています。積水ハウスと同じく地面師詐欺にあった「アパホテル」は“ナパホテル”と表現されています。
キャスト
役者名 | 役名 | 説明 |
---|---|---|
綾野剛 | 辻本拓海 | 地面師グループの「交渉役」で、以前の仕事でハリソン山中と出会い地面師となった |
豊川悦司 | ハリソン山中 | 地面師グループのリーダーで元暴力団の幹部 常に冷静で紳士的な態度だが、サイコパスな一面を持つ |
ピエール瀧 | 後藤義雄 | 元司法書士で複数の不動産関連の資格を持つ「法律屋」 口が達者で高圧的な性格 |
小池栄子 | 稲葉麗子 | 成りすましのキャスティング担当の「手配師」 地主の経歴などを覚えさせる教育担当でもある |
北村一輝 | 竹下 | 土地や物件の情報を仕入れ、地主の情報などをリサーチする「情報屋」薬物中毒で横柄な性格 |
アントニー | オロチ | 竹下の子分のチンピラで、余計なことを口走る男 地面師になりたいと思っている |
染谷将太 | 長井 | 身分証や公的証書の偽造を得意とする「ニンベン師」 猫好きでハッキングスキルもある |
リリー・フランキー | 下村辰夫 | 定年間際の警視庁捜査二課の刑事 持病を抱えている |
池田エライザ | 倉持 | 辰と組む刑事ドラマ好きな新人刑事 いずれは捜査一課に行きたい |
岩谷健司 | 羽場 | 捜査二課の理事官で、辰と長年の付き合いがあり辰の上司でもある |
駿河太郎 | 真木 | 不動産企業「マイクホームズ」の社長 恵比寿の土地を巡る不動産取引で地面師の標的となる |
山本耕史 | 青柳隆史 | 大手デベロッパー「石洋ハウス」の開発事業部部長 大井町の開発プロジェクトが白紙になり、代わりとなる土地探しに焦っている |
松尾諭 | 須永 | 「石洋ハウス」の商業事業部部長で、高輪の不動産取引に最初から不信感を持っていた 青柳と対立している |
松岡衣都美 | 川井菜摘 | 高輪にある「光庵寺」の住職で、近隣の土地の地主でもある 夫は駆け落ちして今は独り身 |
\ 月額2,530で見放題!/
NETFLIX公式Xより
ナレーションを山田孝之がやってたよ
綾野剛でよくないか
感想
何となく観始めたつもりが、面白くて一気観してしまいました。
最近の詐欺は非常に巧妙化していて役割分担制だと聞いていたけど、ドラマをみて「こういうことなんだな」と納得しました。
詐欺が成功するのかしないのか、とても緊張感があって惹きつけられます。
残酷なシーンもあり、NETFLIXでなければ作れない作品だと思います。
辻本拓海
拓海は最初から、完全な悪にはなりきれていない雰囲気でした。
地面師を楽しんでいるわけでもなく、大金が稼げて嬉しいわけでもなさそう。
自身も地面師に騙されて家族をめちゃくちゃにされた過去から、地面師になってそいつを見つけて復讐するという目的がありました。
いつしか地面師にのめり込み罪悪感もなく、淡々と役割をこなしている感じでした。
あんな過去がなければ、彼はきっと真面目に不動産営業として働いていたと思います。
常に成りすまし役の素人や他人に、優しい口調で接していたのが印象的でした。
ハリソン山中
この男はサイコパスで快楽殺人者です。
人を殺すことをなんとも思わない、殺す相手の死に際の顔を見て“エクスタシー”を感じる変態野郎。
必ず殺すところを録画して、後でウィスキーを飲みながら鑑賞します。
こいつ「ゴールデンカムイ」に出てきそうだなと思っていたら、積水ハウス事件の首謀者の“内田マイク”は当時「網走刑務所」から指示を出していたらしいです。
「網走刑務所」と言えば「ゴールデンカムイ」なので、まさかの接点にびっくりしました。
でも、ハリソンのモデルは“カミンカス操”の方かな。
豊川悦司の敬語を使う不気味な演技が良かったです。
後藤義雄
後藤は高圧的で腹が立ちます。
「お前はコカインで捕まってるだろ!」と思わず言いたくなります。笑
よく逮捕から1年弱で復帰できたなこの人。
そんなピエール瀧の話は置いといて、後藤は口が達者で法律にも精通しています。
起点が効くので、上手く助け船を出していた印象です。
麗子
「手配師」である麗子、彼女も犯罪に対して何の罪悪感もない印象です。
川井菜摘に成りすますことになりますが、バレるかバレないかドキドキしてしまいます。
しかし、あの丸坊主はどうやっていたのでしょうか。カツラにも見えませんでした。
最後は、成りすまし役予定だった女性に同情していい人になりますが…残念です。
竹下
こいつは“薬中のチンピラ”ですからね。
最初から“何かやらかす感”をかもし出していました。
オロチ(アントニー)をしばいたり、蹴り飛ばすシーンは笑えました。
薬中のくせに、情報収集とリサーチはしっかりやってくるんですよね。
その辺のギャップも笑えました。
北村一輝のチンピラ演技が面白くて「ルイ・ヴィトーン!」が最高でした。
オロチ
まず“オロチ”って何だよ。
こいつは邪魔ばっかりしてましたね。「何か役に立ったことあったか」という感じです。
馬鹿さ加減がぴったりな配役だったと思います。
彼の最後のシーンは「そりゃそうなるわな」と言わざるを得ません。
下村辰夫
辰さんは、優しいベテラン刑事です。
もうすぐ定年で旅行も計画していたのに…まさかそんな展開になるとは。
リリー・フランキーの自然な演技が印象的でした。
辰さんはいい人だよね
ハリソンが許せないね
青柳隆史
青柳は、出世欲に溢れたパワハラ部長です。
大井町プロジェクトの頓挫でかなり焦って、判断力が薄れてしまいました。
早く決めないと他社に取られてしまうという状況は、ビジネスの世界ではよくあることだと思います。
そこを上手くついたのが“地面師詐欺”です。
部屋選びだって「今決めないと他の人に取られちゃう」って焦ったりしますからね。
天国から地獄へ突き落とされた彼が、あまりにも悲惨で少し可哀想でした。
山本耕史の演技も良かったと思います。でも、パンツは脱いでないと不自然だったよ。
須永
須永は一見、“ドラマで主役をいじめる上司”のような立ち位置に感じます。
でも、このドラマでは彼はずっと正しいことを言っています。
実際の積水ハウス事件でも、積水ハウス社内にずっと西五反田の不動産取引を怪しいと訴えていた部長がいたようです。
最後のシーン
ちょっと納得いかなかったのが最後のシーンです。
拓海が“あれ”をハリソンの方に投げましたよね?
なのに…なぜ??
シーズン2を作りたいからですか?
スッキリしない最後でした…
あれはどういうことなんだろ?
一番の悪党だぜ!?
続編(シーズン2)について
2024年7月に新庄耕の「地面師たち ファイナル・ベッツ」という「地面師たち」の続編の小説が出版されました。
石洋ハウス100億円詐欺から2年後の話で、“ハリソン山中”が新たな仲間とともに北海道のカジノ建設予定地で“200億円規模の詐欺”を行うという内容です。
読んだ方のレビューによると、手口は前作とほぼ同じようです。
規模は大きくなるけど手順は同じ…となると、よほど上手く映像化しないと危険な気が…
前作の完成度がかなり高かっただけに、それを超える“続編”を製作するのは「至難の業」でしょう。
個人的には、続編も観たい気持ちはありますが…このまま終わるのもいいのではないかと思います。
まとめ
7月25日にNETFLIXで配信されたばかりのドラマ「地面師たち」
狂気と緊張感に満ちたドラマで、全7話で完結する作品となっています。
一度エピソード1を観れば、面白くて止まらなくなるでしょう。
2017年に実際に起きた「積水ハウス地面師詐欺事件」をモデルに、新庄耕の同名小説を映像化した作品です。
決して犯罪を美化してはいけないし、“詐欺の手口を知る”ということは抑止力にはなるかと思います。
残酷なシーンで肉が「グチャグチャ」と鳴るのが生々しいですが、そこは悪しからずご了承ください。
彼ら“地面師たち”が、どうやって大手デベロッパーを騙すのか。
ぜひ、ご覧になってみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました
ファックしかできねぇじゃねえかよ!